研究課題/領域番号 |
23K26063
|
補助金の研究課題番号 |
23H01368 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井上 剛志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70273258)
|
研究分担者 |
安達 和彦 中部大学, 工学部, 教授 (30243322)
川崎 聡 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究領域主幹 (30839105)
神谷 恵輔 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50242821)
堀口 祐憲 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (60314837)
高木 賢太郎 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60392007)
内海 政春 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60727634)
部矢 明 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80911297)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
|
キーワード | 振動解析・試験 / 推進・エンジン |
研究開始時の研究の概要 |
ロケットエンジンのターボポンプには作動流体の過酷な供給性能要求が課せられる.そして,それに付随した軸振動が頻繁に問題となる.H2ロケットのLE-7エンジン開発時にはこの軸振動克服に多大な労力を要し,LE-7Aエンジンでも信頼性向上への主要課題であり続けた.さらに,H3ロケットのLE-9エンジン開発でも流体力と振動の連成問題に起因した課題に直面し続けた.一方,これらの要求達成に必須なターボポンプの実フライト時の振動特性の解析技術は,世界的にもまだ十分に開発されていない.本研究では「ロケットターボポンプの実フライト状況下の非定常振動特性を流体力連成で高速に評価・予測し得る解析技術の開発」を行う.
|
研究実績の概要 |
今年度は下記の課題に関して実施した. 課題Ⅰ 各種ターボ要素の本質的な流体振動連成特性の解析と表現およびその実験的検証:まずはシールについて,平行環状シールとテーパシールに関する従来成果の解析モデルをさらに発展させて軸振動との連成解析のための表現を構築し,その特性を実験で確認した.また,この成果をCFD解析と併せることにより,従来は適当に与えられがちであった境界条件や摩擦係数についてもより精度よく検証ができる準備を終えた.さらに名大既設のピエゾアクチュエータ制御型RD流体力試験装置については,軸振動に対応したRD流体力計測に対応するために回転速度と軸軌道を多様・連続に制御可能に拡張し,外乱オブザーバによる精緻なRD流体力の測定手法も開発した.現在,実験装置の加振部分を大幅に改造している.また,実験データに機械学習を用いたRD流体力の連成表現も検討している.インデューサ,タービンについては,シール部分完了後に着手予定である. 課題Ⅱ 流体力を連成させたロータ系の曲げ振動および軸方向振動の解析手法の構築:【曲げ振動について】ロータ・シール系に対して半解析的流体振動連成解析手法の構築を部分的に達成した.達成した部分は軸振動部分であり,流体力の解析部分は現在検討中である.解析効率は30%向上した.【軸方向振動(バランスピストン)について】従来成果を拡張して名大に従来装置を改善して,制御機能を付加した実験装置を作成した.今後はロータを用いたバランスピストンの動特性試験装置を開発し,上記の流体振動連成解析モデルを実証する. 課題Ⅲ 計画より前倒しをし,マルチボディモデルの構築に着手した.まずは簡易ロータモデルで構築し,安定した解析を達成した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析については,課題の中心である「非定常流体連成解析部分」と「マルチボディ解析部分」に着手でき,それぞれある程度順調に進展できた.「非定常流体連成解析部分」については,シール,インペラ,インデューサについては今後の解析の見通しも立てることができた.一方,タービン部分については着手が遅れている. 実験については,ピエゾアクチュエータ制御型RD流体力試験装置の故障が起き,回復に時間がかかったが,制御手法および流体力特性の推定手法の構築は完了できた.回転部分と加振部分を分けたさらにシンプルな構造に改造しており,当初の予定通りの実験を行うには至らなかったが,次年度前半に改造を終え,年度後半には多様な非定常流体推定実験を再開予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
課題Ⅰ 各種ターボ要素の本質的な流体振動連成特性の解析と表現およびその実験的検証:【インペラ,シール,軸受】軸振動との連成解析のための表現を構築する.その有効性をCFD解析や名大装置を用いた実験で検証する.名大装置は回転速度と軸軌道を多様・連続に制御可能に拡張し,軌道追従精度100ナノオーダーを達成するとともに,オブザーバによる精緻なRD流体力の測定手法も開発する.【インデューサ】代表者が構築を進めている1次元流体解析モデル+翼間流路流体解析モデルをさらに発展させて軸振動との連成解析のための表現を構築する.その有効性をCFD解析やJAXA既設のインデューサー性能試験装置を用いた実験で検証する.【タービン】分担者(内海教授,川崎氏)の経験を活用し,まず流体力表現の基本方針を議論・検討し,CFD解析を用いて都度確認する.その検討結果を基にタービンの流体力に関する本質的な軸振動との連成解析のための表現を構築し, CFD解析でその妥当性を検証する. 課題Ⅱ 流体力を連成させたロータ系の曲げ振動および軸方向振動の解析手法の構築:【曲げ振動】従来成果を拡張してHBM-AFT法を適用した半解析的流体振動連成解析手法を構築する.同時に,課題Ⅰの成果から各種ターボ要素の流体力の軸振動との連成解析のための表現を含めたロータ系の有限要素モデルを構築する.【軸方向振動(バランスピストン)】従来成果を拡張してインペラの弾性モードも考慮した軸方向振動の流体振動連成モデルを検討し構築する.名大にロータを用いたバランスピストンの動特性試験装置を開発し,上記の流体振動連成解析モデルを実証する. 課題Ⅲ 実フライト時のロケットターボポンプの弾性マルチボディ解析技術の構築:弾性マルチボディロータモデルを開発し,まずはRD係数を組み込んだロータ系にて実フライト環境下の振動解析を実施する.
|