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大容量かつ高効率な非接触給電システムのための電圧分散型オープンコイルの提案

研究課題

研究課題/領域番号 23K26085
補助金の研究課題番号 23H01390 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分21010:電力工学関連
研究機関千葉大学

研究代表者

宮城 大輔  千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (10346413)

研究分担者 小林 宏泰  千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (30844063)
井上 良太  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (80881127)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
キーワード非接触給電 / 電圧分散型オープンコイル / 大容量 / 高効率 / オープンコイル / 電圧分散 / 渦電流損 / 部分要素等価回路法 / 有限要素法 / 誘電損失 / 低電圧
研究開始時の研究の概要

ショートコイルを用いた非接触給電システムの大容量化は,コイルとキャパシタの大きな共振電圧が課題となっている。提案する電圧分散型オープンコイルでは,コイル内にインダクタンスとキャパシタンスを交互に配置する構造となるため,対地からみた各部の電圧を抑えることができ,大容量送電が可能となる。一方で,電圧分散型オープンコイルは,分割数や線材の並列数,線材形状,絶縁材料の違いにより送受信コイルの自己共振周波数や損失が大きく変化する。本課題ではコイル内の複雑な電磁現象を明かにすることで,低損失な電圧分散型オープンコイル構造を明かにし,電圧分散型オープンコイルによる高効率な大容量非接触給電システムを提案する。

研究実績の概要

提案する電圧分散型オープンコイルを用いることで,大容量で高効率な電力伝送を実現することが出来ると考えられるが,その設計指針が不明確である。そこで,送受信コイルとなる2分割3並列導体を用いたモデルコイルを作製し,共振周波数での励磁時の各部の電位を測定した。さらに,コイル構造からインダクタンスとキャパシタンスを求め,コイルの全長を複数の区間に分割し,各区間に素子を配置する部分要素等価回路法を用いて,各部の電位,電流の解析を行った。測定結果と解析結果とを比較した結果,両者は良く一致し,測定結果よりコイルやキャパシタに発生する電圧を分圧して接地点からの電位を低く抑えられることを示すとともに,コイル内の電磁現象について,計算結果より明らかにした。さらに,2分割3並列導体を用いた3種類のモデルコイルを作製し,それぞれのインピーダンス特性の測定結果から,コイル構造により共振時のコイルの損失が異なり,設計時の見積りよりも大きくなる結果が得られた。この原因を明らかにするため,有限要素法を用いてコイル導体に生じる渦電流損の検討を行い,数百kHz帯では導体間の絶縁材料による誘電損失よりも導体に生じる渦電流損による影響が大きいことを明らかにした。この結果をふまえて,渦電流損を小さく抑えたコイル構造を提案し,2分割3並列導体を用いて渦電流損を抑えた構造のモデルコイルを作製し,損失低減効果を確認した。以上により得られた知見より,電圧型分散型オープンコイルの基本的な設計指針を明かにした。
また,小容量インバータによる方形波励磁時の電圧分散型オープンコイルの損失測定を行い,共振周波数以外の電流はほとんど流れずに,正弦波電圧励磁時の損失とほとんど変わらないことを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

共振周波数が493Hzとなる2分割3並列導体による電圧分散型オープンコイルを試作し,共振周波数においてコイルの両端電圧はほぼゼロとしながら,コイル全体に生じている電圧が分散されて接地点からの電位が低く抑えられることを実証した。さらに,部分要素等価回路法を用いてこの試作コイルをモデル化し,各部の電位計算を行った結果,測定結果と良く一致する結果が得られた。この結果より,各部でのインダクタンスやキャパシタンスの考え方が明らかとなり,また,電位分布などからコイル内部での電磁現象を十分に理解することができ,電圧分散型オープンコイルのインダクタンスやキャパシタンスの設計方法が明かとなった。また,コイル内の損失についても誘電損失と渦電流損に関して考察を行い,有限要素法を用いることで,渦電流損が小さくなる巻線構造を示した。以上から,大容量・高効率な非接触給電システムに必要な電圧分散型オープンコイルの基本的な設計指針を明かにした。また,方形波励磁時においても電圧分散型オープンコイルの損失は,正弦波電圧励磁時の損失とほとんど変わらないことを示し,大容量非接触給電システムの実証試験を行うための励磁回路の基本的な知見が得られた。以上の本年度の成果は,大容量・高効率非接触給電システムを実証するための給電コイル設計に必要不可欠な知見であり,これらは本年度の研究実施計画に基づいており,研究進捗はおおむね順調である。

今後の研究の推進方策

提案する電圧分散型オープンコイルを用いた非接触給電システムを作製し,送受信コイルの各部の電位を低く抑えたうえで8kW送電の実証を行うことを目標としている。そのために,以下の点を軸に研究を行う。
①部分要素等価回路を用いた大容量・高効率に適した,並列導体数ならびに分割数の検討を行う。本年度の実測値とモデルによる計算結果との比較から,計算結果の妥当性が示されたので,解析モデルを用いて多並列導体にすることで導体の並列化による大容量化と共振周波数を低くするシステム設計を検討する。
②提案コイルの小型軽量化および低損失化に関する検討を行う。本年度の成果で渦電流損を低減する基本的な構造を示したが,更なる低損失化を検討するために,巻線導体の近接効果による渦電流損の推定手法の検討と低損失な導体構造の検討を行う。
③電力伝送実験による提案コイルの有効性の検証を行う。本年度は,コイル単体で設計通りの電磁現象となることを確認したので,実際に電力伝送実験を行い,電力伝送時の電圧分散型オープンコイル内部の電磁現象の明確化を行う。さらに,実機において送信コイルと受信コイルの共振周波数を完全に一致することは難しく,共振周波数のずれが電力伝送特性に及ぼす影響を検証し,大容量の電力伝送を行うための課題抽出を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 大容量非接触給電システムに向けた電圧分散型オープンコイルの電圧分布測定2023

    • 著者名/発表者名
      山本優作,小林宏泰,早乙女英夫,宮城大輔,井上良太
    • 学会等名
      2023年電気学会産業応用部門大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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