研究課題/領域番号 |
23K26088
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補助金の研究課題番号 |
23H01393 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹内 希 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80467018)
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研究分担者 |
平川 力 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60415734)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 高度水処理 / OHラジカル / プラズマ / 促進酸化法 / マイクロバブル / 過酸化水素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ダイヤフラム放電プラズマを用いた過酸化水素生成効率の向上と,オゾン供給と組み合わせた高濃度有機排水の高効率処理実証を最終目的とする。プラズマのパルス重畳直流電圧駆動により損失要因を最小化して,過酸化水素生成効率の大幅向上を図る。また,マイクロバブル化したオゾンの液中への供給によりオゾン利用率を極大化し,ダイヤフラム放電プラズマと組み合わせた高濃度有機排水処理を実証して,実用化に足る処理効率を達成する。具体的な目標として,過酸化水素生成効率5 g/kWh以上,酢酸分解における有機物分解効率5 gTOC/kWh(TOC:全有機炭素量)以上の達成を目指す。
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研究実績の概要 |
両極性パルス電圧により駆動される,ダイヤフラム放電プラズマによる過酸化水素生成特性を調査した。印加電圧振幅,周波数,および液温をパラメータとすると,電圧または周波数を高くして投入電力を大きくしたとき,過酸化水素の生成速度は投入電力と正の相関を示した一方で,生成効率はある程度の値で飽和する傾向となった。また,液温を室温程度から沸点程度まで変化させた結果,過酸化水素の生成効率が60~70℃付近で最高となり,印加する電圧に対して微細孔で形成された気泡の形状と気泡の安定形成が,過酸化水素生成の最適条件とその条件における生成効率を決定づけると結論づけた。 ダイヤフラム放電プラズマの発光分光計測によって,電子密度,電子温度,およびガス温度を算出したところ,電子密度が最高で10^22 m^-3オーダ,電子温度およびガス温度が数千Kとなった。また,過酸化水素生成の第1段階であると考えられる,水分子の解離に伴うOHラジカル生成の素反応の反応速度を検討した結果,電子衝突による解離反応よりも熱分解による解離反応が支配的であることが示された。 過酸化水素とオゾンを用いた促進酸化処理によって,酢酸の分解実験を行った。オゾンは,散気管,または,散気管よりも微細な気泡を生成できるマイクロバブル発生器を用いて処理液に供給した。オゾン利用率(処理液中に吸収されるオゾンの割合)はマイクロバブル発生器を用いた場合の方が高く,また,全有機炭素(TOC)の減少速度も大きくなったことから,オゾン気泡の微細化によるTOC分解反応の促進が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ダイヤフラム放電プラズマの特性およびその過酸化水素生成特性を詳細に把握することができ,高速・高効率な過酸化水素生成を達成可能と思われる生成条件および印加電圧要件を明らかにした。また,過酸化水素とオゾンを用いた促進酸化処理において,オゾンをマイクロバブルとして処理液に供給することの有用性を明らかにした。よって,本研究課題は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に明らかとなった要件を満たす電源を作成し,高速・高効率な過酸化水素生成を達成する。また,オゾンマイクロバブルと過酸化水素を組み合わせた促進酸化処理における,効率的なオゾンおよび過酸化水素の供給速度や分解システムの構成を明らかにする。
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