研究課題/領域番号 |
23K26094
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補助金の研究課題番号 |
23H01399 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
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研究機関 | 公益財団法人応用科学研究所 (2024) 京都大学 (2023) |
研究代表者 |
引原 隆士 公益財団法人応用科学研究所, その他部局等, 特別研究員 (70198985)
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研究分担者 |
持山 志宇 京都大学, 工学研究科, 助教 (20867866)
福永 崇平 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (20914138)
高山 創 京都工芸繊維大学, 京都グリーンラボ, 特任助教 (30981063)
新谷 道広 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 准教授 (80748913)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | SiCパワーMOSFET / デジタルアクティブゲートドライバ / デジタルツイン / 学習最適化 / オートチューニング |
研究開始時の研究の概要 |
本申請は,商用化が進むGaN,SiC等のワイドバンドギャップ半導体を用いたMOSFETなどの電力変換回路応用に関して,素子の物理的優位性を生かしたゲート駆動方式の完全デジタル化を目指すものである.ワイドバンドギャップ半導体パワーデバイスは製造過程における特性のバラツキ が大きく,均一なデバイス特性を前提とした固定回路によるゲート駆動は個別調整が難しい.電力変換の基本回路であるブリッジ回路において故障や損失の増加を避けるため,動作パラメータの最適化と共にチューニングが可能な駆動方式が求められる.これを踏まえオートチューニング可能なデジタルアクティブゲートドライブ技術を開発し,開発環境を確立する.
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研究実績の概要 |
1) デジタルアクティブゲートドライバ(DAGD)の動作周波数の向上や集積化を目指し,基礎的検証で用いた抵抗方式によるゲート電圧の調整方式を見直し,モジュラー方式を適用した新しい回路構造のDAGDの開発に研究を進めた.従来の抵抗方式のDAGDと比較して動作時の損失が少なく,またパワーデバイスの導通時のゲートバイアスを変更できることを確認した,高周波数での動作や多数素子の直並列駆動に向けた高機能化と共に,素子毎に個別のゲート駆動パターンを設定することで素子の不均衡を是正できる可能性について実験において検証を進めた. 2) DAGDをハーブブリッジ回路の各アームに適用し, 同期整流により電力変換回路の動特性の改善を試みた. また昇圧・降圧チョッパ回路それぞれについて, 動特性の改善に適したDAGDの実装方式について検討し,故障を回避する方法および駆動の制約条件について明らかにした. 3) デバイスベンダが提供するデバイスモデルを適用において, デバイスの特性評価が実測と乖離することにより回路シミュレーションが電力変換回路の設計の課題となっていることについて検討を加え,既製の実験室機器のみで実現可能な,設計者側によるデバイスモデリングメソドロジの開発を進めた.市販SiC MOSFETを用いた評価を行い,ベンダ提供モデルに比べ幅広い動作条件にわたって精度良く実測を模擬できるモデルを得ることに成功した. 4) DAGDのモータ駆動への適用に向けて,モータ試験環境の立ち上げを行うと共に,スイッチング回路を用いた運転試験を一部先行して実施し,数値シミュレーション結果との比較を行い,課題の洗い出しを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) デジタルアクティブゲートドライバ(DAGD)の動作周波数の向上や集積化を目指し,基礎的検証で用いた抵抗方式によるゲート電圧の調整方式を見直し,モジュラー方式を適用した新しい回路構造のDAGDの開発に研究を進めた.モジュラー方式DAGDは,従来のDAGDと比較して動作時の損失が少なく,またパワーデバイスの導通時のゲートバイアスを変更できることが実験的に確認できた,高周波数での動作や多数素子の直並列駆動に向けた高機能化を達成した.素子の特性に合わせたゲート駆動技術を発展させパワーデバイスの劣化などの長期的な特性変化を補償する手法として提案ドライバを活用できる可能性を得た. 2) DAGDをハーブブリッジ回路の各アームに適用し, 同期整流を適用した結果,電力変換回路の動特性を改善することができた.また昇圧・降圧チョッパ回路それぞれについて, 動特性の改善に適したアDAGDの実装方式および故障を回避する方法を検討し,駆動の制約条件について明らかにした. 3) デバイスベンダが提供するデバイスモデルを適用において, デバイスの特性評価が実測と乖離することにより回路シミュレーションが電力変換回路の設計の課題となっていることについて検討を行った.その結果,既製の実験室機器のみで実現可能な,設計者側によるデバイスモデリングメソドロジを開発した.市販SiC MOSFETを用いた評価を行い,ベンダ提供モデルに比べ幅広い動作条件にわたって精度良く実測を模擬できるモデルであることを確認した.この結果は,デジタルツインによる回路検証の妥当性を保証するものである. 4) DAGDのモータ駆動への適用に向けて,モータ試験環境の立ち上げを行うとともに,スイッチング回路を用いた運転試験を一部先行して実施し,数値シミュレーション結果との比較と次年度以降に向けた課題の洗い出しを行った.
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今後の研究の推進方策 |
1) 素子の特性に合わせたゲート駆動技術を発展させパワーデバイスの劣化などの長期的な特性変化を補償する手法として提案ドライバを活用できる可能性を確認したことを受け,実回路における DAGDの実装を進める. 2) 同期整流回路へのDAGDの適用は,DAGDの数の増加がによる動特性改善に用いるゲート駆動パターンの探索量が大幅に増加する.これを解消するため最小時間で解を与える探索アルゴリズムを検討する.また実回路において探索の途中で上下アームが短絡して貫通電流による故障などを引き起こす可能性があるため,回路特性を詳細に模擬した回路シミュレーションを併用してゲート駆動パターンを予め探索して実機へ適用するなど, デジタルツインによる制御方法を検討する. 3) デバイスモデリングメソドロジを, 素子特性のばらつきにも対処できるよう拡張する.従来研究は,乱数に基づくシミュレーション評価に留まっていることから,同一型番における複数の個体に対する実験結果に基づいてデバイスのモデル化手法を確立する. 4) モータ試験の結果から得た駆動最適化の際に考慮すべき指標の知見に基づき,当該指標の必要性の実験的検証を進め,ゲートドライブ回路の構成およびその動作アルゴリズムのとの整合性を検討する.
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