研究課題/領域番号 |
23K26102
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補助金の研究課題番号 |
23H01407 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
陳 強 東北大学, 工学研究科, 教授 (30261580)
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研究分担者 |
今野 佳祐 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20633374)
佐藤 弘康 東北大学, 工学研究科, 助教 (20302234)
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
石井 望 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50232236)
袁 巧微 東北工業大学, 工学部, 教授 (80509729)
吉田 弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), グループリーダー (00359134)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 海中電波利用 / アンテナ / 電波 / 高損失媒質 / 伝送路 / 電波伝送路 / 海中アンテナ / 海中電波伝搬 / 高損失媒質中の電波伝搬 |
研究開始時の研究の概要 |
洋上風力発電の保守が必要な海中インフラにおいて利用可能な伝送路構造を取り上げ、伝送路導波メカニズムの解明、保守に必要な海中ドローン搭載型アンテナと伝送路との結合技術、大気と海水の間に差し込まれた海中・海上混合伝送路を介する通信系のバジェット計算に基づく伝送路伝搬の優位性の確認、さらに、実海域での伝送路を利用した通信系の実証試験について取り組む。また、無線電力伝送技術で利用し、海中ドローンの電磁アンテナと混合伝送路の結合を高める。実際の海洋構造物を念頭にし、海水、コンクリート、鉄筋から構成される海中・海上混合電磁波伝送路の導波メカニズムを解明し、高効率伝送路を構築する。
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研究実績の概要 |
ドローンアンテナと混合伝送路の電磁結合を検討するために、まず混合伝送路に支持しうる伝搬固有モード解析を行った。海中構造物の環状コンクリート柱は強度を保つために鉄筋が埋め込まれるが、その鉄筋を完全導体円筒面とみなして、内側を海水に接する円筒伝送路と外側に海水に接する円筒伝送路に分離して解析的に固有モードと断面内固有モード電磁界分布を明らかにした。当初想定していたTEM波に近い伝搬モードが存在し、アジマス方向の変化に応じて固有周波数が変化することを明らかにした。また、緩やかなカットオフ現象が生じること、カットオフ周波数(固有周波数)を超えると、伝送線路内の減衰定数が最低次モードと一致し始めるなどの特徴を把握することができた。さらに、ドローンアンテナとの電磁結合の観点からは、TEMモードに軸方向電界成分を追加したモードが優勢であることから、この軸方向電界成分を積極的に利用した電磁結合が有効ではないかという考えに至っている。 また、混合伝送路の伝搬損失を定量的に解析するために、時間領域有限差分法、周波数領域のモーメント法及び分布常数回路法を用いて、電磁界シミュレーションを行った。その結果、コンクリート内は径方向の電界成分が主な伝搬となっており、コンクリート外部からのどの方向の成分での励振でも支配的であることが明らかになった。これらのシミュレーションの結果は,定性的には減衰定数を含めて伝搬固有モード解析の結果と同じであり、解析結果の妥当性が示されている。 さらに、実際の海中構造物の詳細構造について調査を行い、細な構造図面と施工方法の情報を得た。その情報をもとに、部分的な1/10スケールモデルを検討し、次年度以降の海中試験装置の設計を行なった。また、海中の複素誘電率を計測する手法について改良を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
混合伝送路の伝搬固有モード解析及び様々な電磁界解析法による電磁界シミュレーションの結果から、環状コンクリート柱とドローンアンテナとの間では電界結合方式が有効であという結論を得ることができた。また、海中アンテナとコンクリート円柱内の伝搬モード間の電磁結合に対する周波数と偏波の依存性を明らかにしており、次年度以降の電磁結合方式の検討と伝搬設計に大きな指針となる。これらの研究成果から、当初の研究計画通りに進んでいることがいえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまではベッセル関数などの特殊関数を利用して混合伝送路の軸方向電界成分に着目した電界結合方式の可能性を探ってきたが、その物理現象を端的に明らかにするため、円筒半径が十分に大きいことから、平面層構造の問題として扱い、よく知られた表面波のふるまいとの関連性を明らかにする。このことにより、本電界結合方式の最適化設計のヒントを得る。さらに、混合伝送路の軸方向電界成分による結合を確認するための、疑似スケールモデルに準じた検証実験を行う。同様に、電磁界の数値解析に関しても、計算資源の効率的な運用も考え、平面の鉄筋コンクリート構造との比較、検討を進めていく予定である。 また、電磁結合と伝送路のシステム設計では、10MHzから100MHzの周波数帯で、海中ドローンに搭載するダイポールアンテナまたはループアンテナの励振による円筒コンクリート伝送路を解析し、電界結合および磁界結合による伝搬損失や周波数依存性を明らかにし、海中アンテナの構造の最適化検討を行う予定である。 さらに、実証試験のためのスケールモデルを作成し、海中構造物中の低周波電磁波伝搬特性に、アンテナと構造物の結合特性を加えたデータを取得し、シミュレーションモデリング精度の向上に貢献する。
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