研究課題/領域番号 |
23K26117
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補助金の研究課題番号 |
23H01422 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
粟辻 安浩 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (80293984)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 計測工学 / 高速度撮影 / ホログラフィ / フェムト秒テクノロジ / イメージング / 可視化 / 光伝播 / 高速度イメージング / 超高速イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
フェムト秒光パルスの伝搬の動画像観測・計測技術の極限を追求する.性能として毎秒100兆コマ相当の動画像,時間分解能として数百フェムト秒を保ちつつ観測・動画像計測可能時間として従来の倍程度までに延伸することを両立させる方法を検討・実証する.この動画像の記録実験システムとして,ホログラフィとその記録光源に超短パルスレーザを用いて構築する.ホログラムの記録には,記録材料と撮像素子のそれぞれを用いた方法を検討する.さらに,本技術を用いてフェムト秒の超高速時間領域で展開される超高速現象の観測・計測・評価など幅広い分野の応用へと研究を進める.
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研究実績の概要 |
フェムト秒光パルスが伝搬する様子の超高時間分解能かつ長時間動画像観測・計測技術を実現するための光学系の設計と構築を行った.構築した光学系ではフェムト秒光パルスを用いてホログラムを記録する.フェムト秒光パルスが伝搬する様子の動画像を長時間観測・計測するために,ホログラムを上下に2分し,それに合わせて参照光パルスも2分する.一方の参照光パルスで一方のホログラム区域を記録し,他方の参照光パルスには適切な遅延時間を設けて他方のホログラム区域を記録するという動作に基づくことで動画の記録時間を延長する. 伝搬するフェムト秒光パルスの動画像の記録時間を延長させるために,従来の光の動画像を記録する従来の光学系に対して,その光学系内で参照光パルスを2分させた.この2つの参照光パルス間で,第1参照光パルスがホログラムを通過した後に第2参照光パルスがホログラムを通過するように遅延光学系を構築した. 2つの参照光パルスで記録する2つのホログラムが同一空間に重畳しないように,2つの参照光光パルスを互いに直交する直線偏光とした.さらに,ホログラムの上下に対応させて,参照光光路中に2×1の偏光板アレイを設定した.この光学系でホログラムを記録し,記録したホログラムをレーザ光で照明し再生した.第1参照光パルスで記録されたホログラム各部分からは動画の前半部分,第2参照光パルスで記録されたホログラムの各部分からは動画の後半部分を観察し,それらの動画像を合成することにより,動画像観測・計測可能時間を倍増できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題であるフェムト秒光パルス伝搬の超高時間分解能かつ長時間動画像観測・計測技術を実現するための光学系の設計と構築ができた.また,構築したシステムにおいて,フェムト秒光パルス伝搬の記録時間倍増に成功した.以上の成果が得られていることにより,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに構成したシステムでは,フェムト秒光パルス伝搬の動画像記録可能時間倍増を可能にした.本年度は,従来のフェムト秒光パルス伝搬の動画像記録技術に対して,より高い時間分解能の動画像記録を実現するための技術を検討する.時間分解能の向上のために,2023年度に構築したシステムにおいて,第1参照光パルスがホログラムを通過した後に第2参照光パルスがホログラムを通過するような遅延光学系において,適切な遅延時間を設定する.適切な遅延時間を設定することで,従来の方法に比べて時間分解能を向上できると考えられる.この適切な時間が未だ明らかになっていないので,その方法を検討する.次に,本方法を模擬する計算機シミュレーションプログラムを作成し,本方法の有効性を確認する.さらに,本方法を実証するためのシステムを設計・構築する.ただし,適切な遅延時間の設定のためには,本システムの光学系を構成する光学素子の高精度な配置・調整が必要になる.この配置・調整を実現するための方法を考案・検討する. 研究協力者としてホログラフィの記録について高度な知識を持つ(株)久保田ホログラム工房 久保田敏弘博士,神戸大学 的場修教授,千葉大学 角江崇准教授,産業技術総合研究所 夏鵬主任研究員,京都工芸繊維大学 Sudheesh Kumar Rajput博士研究員,広島大学 井上智好特別研究員と議論ならびに助言を受けながら研究を進める.
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