研究課題/領域番号 |
23K26129
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補助金の研究課題番号 |
23H01435 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉本 靖博 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70402972)
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研究分担者 |
中西 大輔 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (00806086)
田熊 隆史 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40437372)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 歩容解析 / バッタ / 生物規範型ロボティクス / 歩容発現メカニズム / 運動への介入 |
研究開始時の研究の概要 |
脚を持つ生物の多様な歩容発現メカニズムを解明し,生物に比肩する運動性能を持つロボットを実現することは,生物規範型ロボティクスの大きな目標の一つである.その目標に向け,本申請研究では,バッタの歩行に着目する.バッタは様々な環境に応じて,他の昆虫にはみられない特異な歩容を見せる.これらバッタ特有の運動は,非常に大きい後脚や各脚先の特異な構造により生み出されていることが示唆されているが,その発現メカニズムは未だ未解明である.そこで,本申請研究では,歩行運動への介入といった新奇な手法を用い,バッタがどのようにその特異な構造を活用し,適応的な歩容を生み出しているかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
他昆虫が見せない特異な歩容をみせるバッタに着目し,バッタがどのようにその特異な構造を活用し,適応的な歩容を生み出しているかを明らかにすることを目的とした本研究の目的の達成に向けて,2023年度では以下の項目を実施した.
- 数多くのバッタに対して,身体パラメータの計測と歩容の計測を行い,どういった身体パラメータが発現する歩容に影響を及ぼすのかについて解析を実施した.その結果,個体のサイズによって,発現歩容割合が変化していること,そして,身体パラメータの中でも後脚の femur と tibia の長さの比が,発現歩容割合と相関があることを明らかにした.また,バッタの歩容と比較をするために同じ直翅目のコオロギについても歩容計測実験を実施した. - 空圧筋を用いた生物模倣ロボットに関する研究を実施した.特にバッタのような外骨格構造をより詳細に模倣すべく,細径空圧筋を用いたロボットの開発に着手した.また,腱の構造や筋腱連携により生み出される機能についての解析も行った.さらに小型バルブによる新たな空圧筋の制御手法の提案や,空圧筋による多様な運動の実現のために空圧筋を曲げる手法の提案も行った. - バッタの歩容を実現する前段階として,跳躍が可能な小型ロボットが自律分散的に目的地に移動するための制御手法を提案し,その有効性を検証.また,脚ロボットを物理シミュレータ上で構築し,様々な歩容における運動性能や必要なトルクの比較を行った.移動ロボットの駆動源として従来の電動モータでなく,流体で駆動するソフトアクチュエータを採用した.また流体は空気でなく水を用いることで,重心位置の操作を可能とした.このロボットを用い,センサ情報から移動中の経路の形状推定を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画での実施スケジュール案では,2023年度は,(a)-1: 対象生物がもつ身体構造の計測・解析,(b)-1: 脚ロボットによる水平面内のバッタ特有の歩容実現,(b)-3: 数値シミュレーションによる多様な歩容実現,を実施し,(b)-2: バッタ特有の脚先構造を模した脚ロボットによる壁面,水平面歩容の実現,および(c)-1: 多様な歩容を記述できる新たな数学的手法の確立に,着手することが主な実施内容であった.研究実績と対応させると,(a)-1および(b)-3については,順調に研究を進められていると考えられる.また,(b)-1については,バッタ特有の歩容実現には至ってないものの,空圧筋を用いた生物模倣ロボットに関する研究を進められており,こちらも十分成果が出てきていると考えられる.これらの一部の成果については,すでに2023年度において国内外の学会において発表を行ってきた.また,論文として投稿済みあるいは投稿準備中となっている成果もある.
一方で,(b)-2および(c)-1については,(a)-1と平行して研究を進めてきたが,また,明確な大きな成果を出すまでには至っていない.従って,総合的には,「おおむね順調に進展している」という自己評価をおこなった.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の実施内容は「おおむね順調に進展している」と考えられるため,2024年度は研究計画での実施スケジュール案どおり,各研究課題を継続して実施していく.ただし,現在までの進捗状況にて述べたように,少し進捗が遅れている(c)-1: 多様な歩容を記述できる新たな数学的手法の確立および(b)-2: バッタ特有の脚先構造を模した脚ロボットによる壁面,水平面歩容の実現については,注力し研究を行い遅れを取り戻すことを行う.そして,最後のサブテーマとなる(c)-2:数理モデルを用いた適応的歩容発現メカニズムの理論的解析に早く着手できるようにしていく.
またこれまで得られた研究成果について,国内外の学会において積極的に発表していくことで,我々の研究をより広範な研究者に認知させるとともに,外部研究者の多様な視点からのコメントを受けることで,より研究を推進していく.また,論文誌への投稿も逐次行っていく予定である.
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