研究課題/領域番号 |
23K26135
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補助金の研究課題番号 |
23H01441 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 至崇 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40224034)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 中間バンド太陽電池 / 希土類元素ドープ / 分子線エピタキシー / 光起電力物性 / ナノ構造物性 / 希土類元素半導体 / 2段階光吸収 / 光閉じ込め構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、再結合速度を極めて遅くさせることを可能とするラチェットの概念を導入した中間バンド太陽電池材料の研究を行う。希土類元素のErドープによりGaAs半導体のバンドギャップ中に中間準位が形成され、さらにEr3+中心へのエネルギー転送に起因したミリ秒オーダーの長い再結合発光寿命が観測されることに着目し、このラチェット準位→伝導帯への2段階目の光吸収レートをどこまで高められるかを明らかにする。本研究で提案するラチェット型中間バンド太陽電池材料の実証例は殆どなく、光電変換過程の解明とその制御法に関する研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究では、再結合速度を極めて遅くさせることを可能とするラチェットの概念を導入した中間バンド太陽電池材料の研究を行う。希土類元素のErドープによりGaAs半導体のバンドギャップ中に中間準位が形成され、さらにEr3+中心へのエネルギー転送に起因したミリ秒オーダーの長い再結合発光寿命が観測されることに着目し、このラチェット準位→伝導帯への2段階目の光吸収レートをどこまで高められるかを明らかにする。 中間バンド型太陽電池は、中間準位を介した2段階光吸収により電流密度が増大し変換効率の向上が期待されるが、広く研究されている量子ドットを用いた場合の光吸収は、母体材料のGaAsバルクと比較して小さいことが課題であり、本研究で取り組む希土類元素ドープを用いた材料でも同様な課題が残る。そこで本年度は、Fabry-Perot(FP)光閉じ込め構造に着目し、まずInAs/GaAs量子ドットを用いて、吸収波長域の光の電界強度を増大させる構造の設計及び実証を行った。さらに光吸収率を増大するために裏面側のBack-grating構造の設計を行った。 具体的には、まず有限要素法を用いて、FP構造及び裏面側で光散乱が起こるように銀のBack-grating構造を配置した薄膜量子ドット太陽電池に太陽光を入射したときの光の内部電界強度と波長依存性を計算した。量子ドット層は150層とし、中間層膜厚は9nmとした結果、GaAsのバンドギャップより長波長領域においてメッシュ構造で5倍程度、ピラミッド構造で10倍程度の光吸収率増大が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の高密度量子ドットを用いた中間バンド型太陽電池の課題の一つは、中間バンドにおけるキャリア寿命が短く、価電子帯→中間バンドへ励起される時間平均の電子数が減少し、正味の電流生成、及び変換効率が低下してしまう点にある。そこで本研究では、再結合速度を極めて遅くさせるためのラチェットの概念を導入した中間バンド太陽電池材料の研究を行う。希土類元素のErドープによりGaAs半導体のバンドギャップ中に中間準位が形成され、さらにEr3+中心へのエネルギー転送に起因したミリ秒オーダーの長い再結合発光寿命が観測されることに着目した。価電子帯→量子ドット中間バンドへ励起されたキャリアがこのラチェット準位へ緩和する過程、またラチェット準位→伝導帯へ2段階目の光吸収レートをどこまで高められるかを明らかにすることを目的とする。 本年度は、Fabry-Perot(FP)光閉じ込め構造を解析し、まずInAs/GaAs量子ドットを用いて、吸収波長域の光の電界強度を増大させる閉じ込め構造の設計及び実証を達成した。さらに光吸収率を増大するために裏面側のBack-grating構造の設計・解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、まず中間バンド太陽電池材料として広く研究されているInAs/GaAs量子ドットを用いて、吸収波長域の光の電界強度を増大させる閉じ込め構造の設計し実証することができた。さらに光吸収率を増大するために裏面側のBack-grating構造も有効であることを示した。次年度以降は、希土類元素のErドープGaAs中間バンド太陽電池材料において、同様の光閉じ込め構造を検討する。ErドープによりGaAsのバンドギャップ中に中間準位が形成され、さらにEr3+中心へのエネルギー転送に起因したミリ秒オーダーの長い再結合発光寿命が観測されることから、このラチェット準位→伝導帯への2段階目の光吸収レートをどこまで高められるかを明らかにしていく。
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