研究課題/領域番号 |
23K26141
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補助金の研究課題番号 |
23H01447 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (2024) 大阪大学 (2023) |
研究代表者 |
林 侑介 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, 主任研究員 (00800484)
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研究分担者 |
今井 康彦 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (30416375)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
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キーワード | 半導体 / 放射光 / オペランド計測 / 歪 / ナノビームX線回折 / 断層解析 / 半導体デバイス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、単結晶半導体デバイスの新たな解析手法として、ナノビームX線回折(nanoXRD)を利用した4次元断層解析「4D-nanoXRD」を開発する。本手法を用いてデバイス動作下の試料を3次元空間分解+時間分解の4次元でXRD測定することに挑戦する。さらに、4次元のXRDスペクトルを分析するための人工知能解析モデルを開発する。これにより、膨大なデータに基づいた潜在的な物理現象の予測を目指す。加えて、データ解析のボトルネックとなっている長時間の解析時間を短縮することで、物理現象の速やかな理解に結びつける。
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研究実績の概要 |
本研究では、単結晶半導体デバイスの新たな解析手法として、ナノビームX線回折(nanoXRD)を利用した4次元断層解析「4D-nanoXRD」を開発する。本手法を用いてデバイス動作下の試料を3次元空間分解+時間分解の4次元でXRD測定することに挑戦する。さらに、4次元のXRDスペクトルを分析するための人工知能解析モデルを開発する。これにより、膨大なデータに基づいた潜在的な物理現象の予測を目指す。加えて、データ解析のボトルネックとなっている長時間の解析時間を短縮することで、物理現象の速やかな理解に結びつける。 本年度は、放射光施設SPring-8 BL13XUを利用して、3D-および4D-nanoXRD計測の測定系構築と初期的測定に挑戦した。研究分担者【今井】が測定系構築を主導し、研究代表者【林】が各種試料の測定を進める体制となっている。まず、ナノビームX線、nanoXRD differential aperture(NXDA)機構、電気信号印加機構を組み合わせ、測定光学系の構築を行った。プローブポジショナを設置できる試料台を作製し、ソース・メジャー・ユニット(SMU)、オシロスコープ等と電気配線を繋ぐことでデバイス動作下でのnanoXRD測定を実現できることを確認した。続いて、NXDA法による試料座標上の3次元走査が最大限に発揮できる半導体デバイス試料として、深紫外UV-B波長レーザーダイオード(LD)、GaN PN接合ダイオード(PND)を選定して測定を実施した。いずれの試料においても回折を確認し、空間分解測定・オペランド測定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、LDについては、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を利用したLDの深紫外UV-B波長(280-320 nm)における発振動作は、名城大学・三重大学によって2020年に世界で初めて実現された。さらなる性能向上に向けて、周期ナノ構造が誘起する歪・欠陥の複雑な分布がLD特性に与える影響を解明することが急務となっている。そこで、周期ナノ構造が誘起する歪・欠陥の分布を3次元断層解析し、基板/薄膜界面から試料表面に至るまでの結晶成長モードの挙動を評価した。この結果、ナノパターン加工AlNに由来する気孔が上層の歪・欠陥・組成に大きな影響を与えることが明らかになった。さらに解析・考察を深めることで、歪・欠陥分布とLD性能の関係性の解明が期待される。 続いてPNDでは、酸化物気相成長法(OVPE)で結晶成長したGaN基板上のPNDがパナソニック・法政大学・大阪大学によって2021年に報告され、極めて低いオン抵抗動作が報告されている。新しい結晶成長法であるOVPEを利用したPNDを実用化するには、絶縁破壊の原因となるキラー欠陥の特定が必須となっている。そこでまず、エミッション顕微鏡・多光子励起フォトルミネッセンスによる観察で特定したキラー欠陥・貫通転位位置に注目して、電圧を印加したデバイス動作下でnanoXRD測定を行った。その結果、デバイス電圧に応じて変化する逆圧電効果、欠陥歪、熱膨張歪の分布を可視化することに成功した。解析をさらに深めることで、キラー欠陥が誘起する歪挙動の特徴抽出に挑戦する。
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今後の研究の推進方策 |
これまで進めてきたnanoXRD測定について、さらに高信頼性・高精度な測定結果を得られるように測定条件を吟味し、最終目標である4D-nanoXRDを通じた物理現象の解明に挑戦する。加えて、本手法を様々な材料・デバイス系に応用することで、汎用性・拡張性の向上に向けた改善を進める。さらに、測定で得られた大規模なスペクトルデータを解析するための機械学習プログラムを実装する。並行して、デバイスシミュレータ、透過電子顕微鏡(TEM)、ラマン分光、多光子励起フォトルミネッセンス(MPPL)、カソードルミネッセンス(CL)、導電性原子間力顕微鏡(C-AFM)といった測定で多角的なクロスチェックを行う。
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