研究課題/領域番号 |
23K26150
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補助金の研究課題番号 |
23H01456 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山田 貴壽 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究チーム長 (30306500)
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研究分担者 |
小川 修一 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00579203)
増澤 智昭 静岡大学, 電子工学研究所, 講師 (40570289)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | h-BN / ベータボルタ電池 / ドーピング / 六方晶窒化ホウ素 |
研究開始時の研究の概要 |
ベータボルタ電池は太陽電池と同様の構造の放射線電池であり、最大のバンドギャップを有するh-BNは、ベータボルタ電池用材料の最有力候補だが、p型・n型導電性制御が開発されていなくベータボルタ電池に限らず電子・光デバイスが実現されていない。本研究では、世界に先駆けて開発したK添加h-BNの物性やバンド構造を解明し、二次元ナノ材料の特徴を活かした積層による原子数層の擬似pn接合及び発電実証に取組む。二次元ナノ材料唯一のワイドギャップ半導体であるh-BNのドーピングによる物性制御は新学術分野を開拓し、さらに交換不要な電池の開発はIoT、6Gを通した安心・安全社会構築に大きく貢献できる。
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研究実績の概要 |
ベータボルタ電池応用のためのh-BNへのカリウム層間挿入による半導体化と構造解明、無添加層とカリウム添加層の積層による機能発現と発電実証に取り組んでいる。 2023年度は、h-BNの電気特性を評価するために、グラフェン電界効果トランジスタ作製工程で実績のある電子線描画及びリフトオフ技術をh-BN用に発展させた。粘着テープを用いた機械剥離によりSiO2/Si上に転写形成したh-BN上に電界効果トランジスタを作製し、電子顕微鏡と光学顕微鏡観察により構造を確認した。さらにカリウム層間挿入による欠陥評価手法として、ラマンイメージングによるピーク位置と半値幅を評価することで、カリウム添加前後のh-BNを評価した。カリウム添加前後でピーク位置と半値幅に大きな差が見られなかった。表面分析を利用することを提案した。高抵抗のh-BNの評価にダイヤモンドで評価実績のある放射光を用いた光電子分光法を適用した。窒素のN1sピークに着目することで、層間挿入前後の相違を見出すことができた。ダイヤモンド放射線センサ測定の知見を活かして、ベータ線照射実験用治具を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、本課題推進で不可欠な素子構造作製技術開発、分析手法開発に取り組んだ。ベータボルタ電池発電実証に必須な構造作製の基盤技術を完成した。放射光光電子分光法での微量元素のカリウムの検出が課題であったが、窒素のピークに着目することでカリウム添加前後でのh-BN評価に適用できることを見出した。以上から、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
条件の異なるカリウム添加h-BNを作製し、2023年度に開発したラマン分光及び放射光光電子分光法で評価する。さらにh-BN電界効果トランジスタを作製し、作製条件と電気特性の関連性を解明する。放射光光電子分光法に加えて、グラフェン用に開発したプローブ顕微鏡/ラマンイメージング複合評価手法及び飛行時間型二次イオン質量分析を駆使し、局所的なK濃度や分布、不純物レベルを評価し、K原子位置と濃度に依存した化学結合状態・構造を解明する。 K層間挿入h-BNと無挿入h-BNの積層構造や面内回転を制御し、ベータボルタ電池発電に適した積層界面構造を形成すし、積層構造の電流電圧特性から拡散電位を評価する。 ベータ線による起電力発電を実証と、β線照射後の試料の劣化やK原子の脱離を評価する。
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