研究課題/領域番号 |
23K26163
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補助金の研究課題番号 |
23H01469 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
齋藤 渉 (羽田野渉) 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10741770)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | パワーデバイス / GaNトランジスタ / 高電圧 / アバランシェ降伏 / 過電圧ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、電気的ストレスによる結晶欠陥の増殖というAlGaN/GaNヘテロ接合特有の物理に着目し、アバランシェ降伏による破壊のメカニズムを究明することを目的とする。 その具体的な手段として、GaNトランジスタにストレス強度を段階的に上げながら単発ストレスを印加するのではなく、同一ストレスを繰り返し印加することで欠陥を緩やかに増殖させ、ストレス前後のリーク電流や静電容量、ゲートしきい値電圧などの電気的特性変化を定量的に計測することにより、欠陥誘起の箇所を導き、アバランシェ降伏によって破壊に至る過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
高電圧ストレスを繰り返し印加する試験回路を作製し、ストレス印加前後の特性変化を計測する定量評価の環境を構築した。オフ状態のトランジスタにおける繰り返しストレスによる欠陥増殖と破壊に至る過程の観測にオーミックpゲート素子から着手した。 高電圧印加時の各電極の電流を計測し、アバランシェ降伏によるホール電流の主な経路は、ドレイン-基板間であることを観測した。加えて、ゲートパルス時間の調整により印加電圧を1%程度増加させ、再度繰り返しストレスを印加しながら、繰り返しストレス印加に伴う特性変化として、ドレイン・ソース間容量の変化を観測した。試験電流の増加に伴い、ホールトラップに起因するドレイン・ソース間容量の増加を観測すると共に、破壊前には、ホールデトラップに起因するドレイン・ソース間容量の減少も観測された。トランジスタが破壊した際には、ゲート電流は変化せず、ドレインのリーク電流が急増した。リーク箇所をIRエミション顕微鏡により観測し、破壊箇所がドレイン電極下のドレイン・基板間のヘテロエピ層であることも観測した。以上の結果からアバランシェ降伏により発生したホールがドレイン・基板間を流れ、その際にトラップ・デトラップが起こることで欠陥を増殖させるパーコレーションモードによりトランジスタが破壊するというメカニズムが解明されたと共に、一連の評価環境と手順を確立することが出来た。 2024年度は、確立した評価環境を基に、複数種類の素子の評価を進めると共に、基板バイアスの影響について調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2024年度に着手予定であった異なるメーカの多種類のトランジスタの評価が既に着手できている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、実験が進捗していると共に、想定していた破壊メカニズムが観測されていることから、2024年度は、確立した評価環境を基に、複数種類の素子の評価を進めると共に、基板バイアスの影響について調べる。2025年度は、オン状態のトランジスタにおける繰り返しストレスによる欠陥増殖と破壊に至る過程の観測を行う。2026年度は、それまでに得られた実測結果をデバイスシミュレーション上で再現する。その結果を基に、破壊耐量を向上させる素子構造や結晶成長プロセスの改良すべき方向性を明らかにする。
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