研究課題/領域番号 |
23K26204
|
補助金の研究課題番号 |
23H01510 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 法美 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10209760)
|
研究分担者 |
中村 友昭 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90569328)
趙 容桓 名古屋大学, 工学研究科, 特任講師 (00761082)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
19,630千円 (直接経費: 15,100千円、間接経費: 4,530千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
|
キーワード | 海浜地形変化 / 円形造波水槽 / 沿岸漂砂 / ビーチカスプ / 沿岸流 / らせん波造波装置 / OpenFOAM / バー地形 |
研究開始時の研究の概要 |
海岸侵食は我が国のみならず世界的に深刻な問題になっているが、その抜本的な対策工法は未だ確立されていない。その大きな原因として侵食の機構、特に沿岸漂砂の発生機構が解明されていないことが挙げられる。水理模型実験はその解明の主要な手法であるが、平面水槽では、水槽側壁が波動場と沿岸漂砂に及ぼす影響が除去できず、沿岸漂砂の機構解明の大きな支障になっている。本件研究はその支障を取り除く円形水槽(円状の海浜模型のため端部がない)を用いた実験により沿岸漂砂の機構解明を行うとともに数値解析によりその発生機構を明らかにするものである。あわせてこれまで未解明であるビーチカスプの生成機構の解明も行うものである。
|
研究実績の概要 |
本研究では、海岸侵食に大きな影響を及ぼす沿岸漂砂の発生機構と海浜変形機構を解明するため、らせん波を入射させる円形水槽を使用し、水槽端部の影響が無い環境で長時間にわたる水理実験結果に基づく検討を行う。らせん波を造波させるため、新しく連結造波板式造波装置を製作・導入して安定した造波のもので実験を行った。この際、従来の造波装置による波と比較を行い、新しい造波装置の有効性を確認するとともに、周期と波高が独立制御可能な本装置によるらせん波による入射波のもとで、波高と周期が沿岸漂砂と地形変化に及ぼす影響を検討するための水理実験を実施した。本造波装置の導入により、入射波高の安定性がはるかに向上し、波高と波周期を独立して制御できることを改めて確認した。波高が大きい場合、空間的に侵食と堆積が相互に現れる傾向が顕著に観察され、強い流動による沿岸流の促進と斜めに入射する波の合成による長周期波成分の変動の地形変化への寄与が示唆された。また、これはビーチカスプの形成にも関わっている可能性も示唆された。これに対し、波高が小さい場合,地形変化は比較的穏やかであり、汀線近くの沖側で発生する沿岸流が地形変化を引き起こす可能性が判明した。この違いから、波高が沿岸漂砂と地形変化に重要な役割を果たしていることが示された。 また、FS3Mに加えてOpenFOAMによる波動場の再現にも取り組み、本研究で対象とする円形波動場においてもOpenFOAMは有用なツールになり得ることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主な内容である円形造波水槽による沿岸漂砂の機構解明については、新たに製作したらせん波造波装置の納入が12月になったことから、新装置を使った実験はかなりケースが限定的となった。ただし、それまでは以前より使用していた自作の装置で可能な条件での実験を実施することで、当初考えていた内容についてはほぼ実施できた。また、新しく製作した装置による実験結果からは、限られた条件での実験にも拘わらず本研究を行う際に予想した現象について、ほぼ期待通りの成果が得られたことから順調に進められていることを確認できた。 一方、数値計算については、FS3Mに加えて、OpenFOAMの適用性についても検討を行った。その結果、OpenFOAMでも、固定床ではあるもののらせん波の造波は安定して可能であることが確認できた。これは初年度の実験で得られた長周期変動のメカニズムの解明に繋がるせいかであり、2年目になる今年度の成果に大きく資する成果であると判断している。 また、限定的ではあるが、コロナ禍で実施が難しかった現地海岸における海浜変形観測も再開した。一時、観測機器の不具合による欠測もあるが再開し、データが入手できたことは今後の研究の進展に大きく資するものと考えている。また、現地の地形変化の変形予測に対するモデルとしてXBeachの適用性についても検討を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目である今年度と次年度は、導入したらせん波造波装置を使って寄り多くの入射波条件、海浜地形条件に対して沿岸漂砂とそれにともなう地形変化のデータを蓄積し、沿岸漂砂の発生機構をその外力である沿岸流の生成メカニズムと関連づけて明らかにする。さらにその機構をふまえ、沿岸漂砂を制御するための有効な対策工についても考究する。 現地における海浜変形観測についても継続して実施し、波浪条件と海浜変形の関係を解析する。 さらに数値計算による円形造波水槽内の地形変化の再現を行い、その現地海浜への適用について考究し、現地の海浜変形予測モデルの構築に取り組む。
|