研究課題/領域番号 |
23K26205
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補助金の研究課題番号 |
23H01511 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
角 哲也 京都大学, 防災研究所, 特定教授 (40311732)
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研究分担者 |
山上 路生 京都大学, 防災研究所, 教授 (80362458)
小柴 孝太 京都大学, 防災研究所, 助教 (80883157)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 流砂 / 摩耗 / 土砂バイパストンネル / セルフライニング / ダム堆砂 |
研究開始時の研究の概要 |
ダム堆砂の解決策として土砂バイパストンネルがあるが,トンネル内を高速で流下する土砂に伴うコンクリート底面の摩耗損傷問題が水工学上の課題として残されている.天竜川水系小渋ダムでは令和2年7月に大規模な損傷が発生し,トンネル運用を停止して改修工事が実施された.現状の摩耗対策は,高強度コンクリートで底面を保護する方法が採用されている.これに対して,桟粗度を一定間隔で設置し,その間に流下してくる土砂を捕捉することで底面を保護する「セルフライニング」手法があるが,これまでに実用には至っていない.本研究では,この「セルフライニング」による摩耗対策手法を水理模型実験により土砂水理学の観点から再評価する.
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研究実績の概要 |
課題1.清水実験における桟粗度の乱流構造、粗度特性(基礎実験)(山上,小柴) フルード数が大きい流れでは,桟粗度に対して被り水深が小さくなり,水面変形が大きくなる.このような流れ場では標準的な水面PIVを適用できず、水面流速や乱流特性の計測が困難である.そこで、複数のレーザービームを併用した新しい撮影システムを開発した.このシステムでは局所的な水面勾配と傾いた水面上の流速や渦度を計測することができる.まず水槽で水深を系統変化させてキャリブレーションを行った.さらに40cm幅の実験開水路において単一桟粗度場を作成し性能検証を行った.粗度背後に生じる波状の水面形とその領域における水面の乱流構造を計測した.水面形はポイントゲージによる実測と良好に一致した.次年度以降ではこの手法を用いて,底面起因の乱流が水面に及ぼす影響を明らかにする.
課題2.移動床実験における土砂捕捉・流動特性(基礎実験) (山上,小柴) 20cm幅の可変勾配水路に一定間隔で桟粗度を設置して移動床実験を行った.上流より砂粒を模したガラスビーズを投入し,桟粗度間の堆積特性を調べた.桟粗度間隔が小さく、フルード数が小さいほど、セルフライニング状態となりやすいことがわかった.フルード数が約3~4の条件では、桟粗度高さに対する桟粗度間隔が5程度あればセルフライニングされる.鉛直面にレーザーライトシートを照射して高速カメラで撮影しPIV計測を行った.桟粗度間隔が10程度では,桟粗度間の中ほどに非堆積領域が現れセルフライニングされない.PIVの結果から桟粗度背後に生じる潜り流によって底面付近のガラスビーズの掃流・浮遊が促進されることが示唆された.このようにR5年度では、移動床水理実験とPIVによる流速計測を行い,両者を比較した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1.清水実験における桟粗度の乱流構造、粗度特性(基礎実験)については,20cm幅の可変勾配水路に一定間隔で桟粗度を設置して基礎的な水路実験を開始し,さまざまなフルード数による桟粗度が与える基本特性,特に,粗度背後に生じる波状の水面形とその領域における水面の乱流構造を計測することに成功しており,順調に成果が得られている.
課題2.移動床実験における土砂捕捉・流動特性(基礎実験)については,課題1と同様の水路に一定間隔で桟粗度を設置して移動床実験を行い,桟粗度間の堆積特性を調べた.その結果,桟粗度間隔が小さく、フルード数が小さいほど、セルフライニング状態となりやすく,フルード数が約3~4の条件では、桟粗度高さに対する桟粗度間隔が5程度あればセルフライニングされる一方で,桟粗度間隔が10程度では,桟粗度間の中ほどに非堆積領域が現れセルフライニングされないことを明らかにした.PIVの結果からは,桟粗度背後に生じる潜り流によって底面付近のガラスビーズの掃流・浮遊が促進されることが示唆され,順調に成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
課題1.清水実験における桟粗度の乱流構造、粗度特性(基礎実験)については,20cm幅の可変勾配水路に一定間隔で桟粗度を設置して基礎的な水路実験を開始し,さまざまなフルード数による桟粗度が与える基本特性,特に,粗度背後に生じる波状の水面形とその領域における水面の乱流構造を計測することに成功しており,次年度以降ではこの手法を用いて,底面起因の乱流が水面に及ぼす影響を明らかにする予定である.
課題2.移動床実験における土砂捕捉・流動特性(基礎実験)については,課題1と同様の水路に一定間隔で桟粗度を設置して移動床実験を行い,桟粗度間の堆積特性を調べた.その結果,桟粗度間隔が小さく、フルード数が小さいほど、セルフライニング状態となりやすく,フルード数が約3~4の条件では、桟粗度高さに対する桟粗度間隔が5程度あればセルフライニングされる一方で,桟粗度間隔が10程度では,桟粗度間の中ほどに非堆積領域が現れセルフライニングされないことを明らかにした.PIVの結果からは,桟粗度背後に生じる潜り流によって底面付近のガラスビーズの掃流・浮遊が促進されることが示唆され,次年度は,これらのメカニズムについてさらに詳細な検討を行う予定である.
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