研究課題/領域番号 |
23K26207
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補助金の研究課題番号 |
23H01513 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮田 秀介 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80573378)
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研究分担者 |
山野井 一輝 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30806708)
小柴 孝太 京都大学, 防災研究所, 助教 (80883157)
水垣 滋 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (10559686)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 流砂 / 土砂生産 / 生産源寄与率 / 流砂水文観測 / 生産源寄与率推定 / 観測モデル / 山地流域 |
研究開始時の研究の概要 |
山地流域からの流砂量を正確にシミュレーションするためには境界条件である斜面から河道網への土砂供給量およびその位置を正しく与える必要があるが,降雨中にこれらの情報を直接的に観測することは現実的でない。そこで現地観測成果を活用し,2段階でデータ同化を行う手法を提案する。実測に基づく流域末端での流砂の生産源寄与率を,事前計算である第1段階のデータ同化に用いて流域土砂動態モデルでの土砂生産に関する係数を推定する。第2段階のデータ同化では斜面崩壊などの土砂供給を想定してその量と位置についての様々な条件でのシミュレーション結果から観測結果を説明しうるものを採用するものである。
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研究実績の概要 |
京都大学防災研究所穂高砂防観測所の足洗谷観測流域(神通川源流域)を対象として流砂水文観測および土砂動態シミュレーション研究を実施した。2023年度は土砂トレーサにより出水中に河川で輸送された土砂が流域のどの地質に由来するか(生産源寄与率)を推定した。既設のピット流砂計、ハイドロフォンと濁度計、TDRを利用した土砂濃度計による掃流砂とウォッシュロードとに浮遊砂も含めた全粒径を網羅した流砂量観測体制を構築し次年度以降も観測を継続する。 掃流砂量観測用のハイドロフォンについて、観測結果だけでなくその不確実性を評価するために、足洗谷観測流域の観測水路にて給砂実験を実施した。実験結果に既存観測結果を教師データとして流砂量を確率変数とする不確実性を含めて推定するモデルを構築した。本観測モデルは異なる増幅率で得た10種類のパルス数を変数としてガウス過程回帰を導入したものである。本観測モデルは教師データ期間の流砂量を良好に再現し、既往研究で示された年間土砂量も良好に再現することができた。 土砂動態シミュレーションモデルは浮遊砂輸送過程について非平衡状態を考慮したモデルへと改良するとともに、生産土砂および流砂に上の土砂生産源寄与率情報を付与できるようにした。 上で得た流出土砂の生産源寄与率推定結果を参考に改良を加えたモデルにより足洗谷観測流域の土砂動態シミュレーションを試行し、裸地斜面での土砂生産に関わる係数を地質ごとに検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に計画していた流出土砂の生産源寄与率推定や現地実験とその結果に基づく観測モデルの構築が順調に進展した。また研究開始前段階から、現地観測と数値シミュレーションという異なる精度、性質の結果を融合させるための議論を研究者間で進めており、地点データである現地観測結果をシミュレーションにより時空間的に拡張させる、シミュレーションの境界条件を観測データから逆推定する方法について検討が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今後、開発するデータ同化手法を足洗谷流域の下流である蒲田川流域(流域面積:約100 km2)に適用して土砂動態シミュレーションを試みる計画である。土砂試料を蒲田川流域の全ての地質の生産源および河床から採取する必要があるが、蒲田川は3000m級の山々を源流に有するため、試料採取が困難であると予想される。事前にシミュレーションを活用し、安全かつ効率的な試料採取地点を検討する。シミュレーションと同時に利用する流砂水文情報は国土交通省神通川水系砂防事務所が2021年に開始した観測の結果を利用する。神通川水系砂防事務所とは観測結果利用について既に協議しているが、実際の運用では、問題を解決しながら進めていく。このようにして本手法を広い流域に適用した際の問題点を抽出し、解決方法を検討する。
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