研究課題/領域番号 |
23K26224
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補助金の研究課題番号 |
23H01530 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
杉木 直 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30322019)
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研究分担者 |
鈴木 温 名城大学, 理工学部, 教授 (00356073)
倉内 文孝 岐阜大学, 工学部, 教授 (10263104)
北詰 恵一 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (50282033)
中村 一樹 名城大学, 理工学部, 教授 (80723791)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | ネットワーク評価 / 都市マイクロシミュレーション / アクセシビリティ評価 / 政策評価 / 居住地選択 |
研究開始時の研究の概要 |
コロナ下において浸透した情報通信ネットワークによるサービスや,SNSの普及による空間的な近接性を伴わないコミュニケーションネットワークの形成による社会構造の変化を踏まえた,交通政策,都市政策の評価検討が必要とされている.そこで本研究では,コロナ下や地域コミュニティの変化の下でのコミュニケーションやサービスアクセスの変化を明らかにした上で,「実空間交通ネットワーク」・「仮想空間情報ネットワーク」・「ソーシャルネットワーク」の統合的なアクセシビリティ評価手法を確立し,さらにその評価を導入した都市マイクロシミュレーションモデルを構築して,都市構造への影響を把握する.
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研究実績の概要 |
2023年度は,データ収集・分析として,コロナ前後の交通行動変化に関する実証分析と,情報通信ネットワークによる事物やサービスへのアクセス,ソーシャルネットワークにおける個人間の繋がり,居住地選択への影響等に関するデータを取得するためのWebアンケート調査・分析を行った. コロナ前後の交通行動変化に関する実証分析については,当初の研究計画では2011年の第5回,2022年の第6回の2時点の中京都市圏PT調査を用いる予定であったが,第6回中京都市圏PT調査のマスターデータが分析実行時点で利用不可能であったため,国交省中部運輸局が令和3年度に実施した「新型コロナウイルス感染症拡大前後における移動需要の変化等に係る調査」を用いて,各生活行動のコロナ前,2020年4-5月,および2021年10月時点の計3時点での外出頻度の変化を分析した.通勤・通学目的では性別により定着状況が異なっていること,買い物目的では,ネットショッピングは特に非高齢者で外出頻度の変化に影響しており,性別や年齢によらず全体的な割合は増加し時間経過とともに定着していることなどが把握された. また,Webアンケート調査では,買い物や通学行動の代替頻度が高く,男性や若年層の代替行動の頻度が高い傾向にあること,代替行動の優れている点は移動を伴わないことや時間的な制約なく利用できることであり,ネットワーク利用に価値を感じる人は代替行動頻度の割合が多い傾向にあることが把握された.また,外食,通勤,通学代替行動は定着率に地域差があり,通院代替行動は定着率が極めて低いが利用者からは一定の価値を見出されていることがわかった.さらに,住み替え意向がない人ほど代替行動の頻度は低く,インターネット上の友人や知人との関係を重視,満足している人が高い代替行動頻度を示し,郊外・農村部よりも都市周辺の方が高い傾向を示すことが把握された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ前後の交通行動変化に関する実証分析については,当初予定していた中京都市圏PT調査データの利用がかなわなかったものの,国交省中部運輸局が令和3年度に実施した「新型コロナウイルス感染症拡大前後における移動需要の変化等に係る調査」を用いることで,当初の研究項目に相当する内容を十分に実施することができた. また,Webアンケート調査では全国を対象として,当初予定の5000票を超える6210票の調査サンプルを取得し,実空間における交通でのアクセスと,情報通信ネットワークによるアクセスの代替性,さらにそのソーシャルネットワークの介在による相違,居住地選択への影響を定量的に分析するとともに,2024年度に予定しているモデル構築において有用なデータが取得された. これらの成果の一部については学会等で発表を行っている。よって、おおむね順調に研究が進んでいると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はおおむね順調に進んでいることから,今後も計画通り進める予定である. 2024年度は,2023年度にWebアンケート調査により取得されたデータを用い,既存のマルチレイヤネットワークに「サービス」「情報空間」「ソーシャルネットワーク」のレイヤーを加えることにより,「実空間交通ネットワーク」・「仮想空間情報ネットワーク」・「ソーシャルネットワーク」の相互依存性を表現可能なネットワーク統合評価モデルを構築する. また,既開発のマイクロシミュレーションモデルをベースとして,居住地選択モデルをサービスへのアクセシビリティを説明変数として考慮したものに改良ネットワーク統合評価によるサービスアクセスを導入した都市マイクロシミュレーションモデルを構築する.これらの検討にあたり,Webアンケート調査により得られたデータを対象として,クラスター分析・判別分析等の手法を用いた追加的な分析を行い,モデル構築のための基礎的な知見を得る予定である. モデル構築に関する研究作業量が多いため,研究補助員等の雇用等により計画的に行う予定である.
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