研究課題/領域番号 |
23K26226
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補助金の研究課題番号 |
23H01532 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤原 章正 広島大学, IDEC国際連携機構:PHIS, 教授 (50181409)
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研究分担者 |
山脇 成人 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 特任教授 (40230601)
笹岡 貴史 広島大学, 脳・こころ・感性科学研究センター, 准教授 (60367456)
清家 美帆 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 特定准教授 (70757244)
力石 真 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 教授 (90585845)
VARGHESE VARUN 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 助教 (40834718)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 準自動運転車(QAVs) / 脳波計測 / 感性の可視化 / 歩行者行動モデル / 準自動運転車QAVs / 感性 / 生理反応 / 脳波 / 感性の計測 / RTI発動への反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,人の運転に依存して走行する既存の自動車(レベル0-2)と準自動運転車(レベル3)が混在する都市において,移動機能と滞留機能を同時に発揮する街路のシェアード・スペースを設計するための要件を探索する。歩行者とQAVsの乗務員のココロの状態を可視化する 感性の分析に挑戦し,感性状態を考慮した多主体の行動予測モデルを開発する。実際の街路にてQAVsを走行させ,歩行者とQAVsの乗務員の感性を計測するとともに,電脳的な空間上にシェアード・スペースを敷設し,シミュレーションモデルによる感度分析を行うというサイバーフィジカル実験に取り組み,準自動運転社会における街路の価値を再考する。
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研究実績の概要 |
1.準自動運転車(QAVs)乗務員の感性の計測と分析 QAVs乗務員の生理反応やウェアラブル脳波計によるQAVs乗務員の感性状態の可視化手法を確立するため、ADAS機能を搭載した普通自動車(自動運転レベル2)を使用し、6名のモニターを募って公道で走行実験を行った。実験期間は2023年9月25日から27日の3日間、中国自動車道の宝塚ICから吉川IC区間(27km)において、運転者に脳波計、心拍計等の生体計測機器を装着させ、ADAS機能が稼働中と非稼働中の感性データを収集した。分析に先駆けて、計測した脳波データにはノイズが含まれているため、①ローパス・ハイパスフィルタ、②独立成分分析、③周波数解析による脳波の抽出、④統計的信頼区間による異常値の除去の手順でノイズ低減処理を行った。脳波β波および心拍比LF/HFの分析の結果、(1)ADAS機能によりでストレスが減少する可能性があること、(2)走行環境要因に起因してストレスが発生する場合があること、(3)脳波は心拍よりストレスを検出する時間が早くなる可能性があることなどを明らかになった。 2.歩行者の感性の計測と分析 歩行者とQAVsが混在する街路空間において、歩行・滞留行動を定点カメラでビデオ観測し,PythonのYolov5を用いて物体の相対位置を検知した。行動軌跡のデータを用いて、歩行者の行動を離散選択モデルを推定し、効用関数のパラメータよりQAVsと歩行者の相互作用の大きさを計測したところ、歩行者は一般車両に比べてQAVsに対して接近による恐怖を覚える程度が低くなることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は計画通りQAVsの走行実験を高速道路(中国道)および商店街モール(呉市)において実施し、運転者の感性関連データの計測に成功した。 計測した脳波には、運転中に体や眼球の運動に起因して重畳するノイズを処理するため、①ローパス・ハイパスフィルタ,②独立成分分析,③周波数解析による脳波(α波とβ波)の抽出,④統計的信頼区間による異常値の除去といったノイズ低減の手順の有効性を確認した。 分析手法として、QAVsと歩行者のシェアード・スペースにおける歩行者の離散選択型行動モデルを構築し、一般車に比較してQAVsを回避する行動が少ないことを確認した。 QAVsの乗務員のβ波データの分析からは、自動運転機能の支援によりストレスが減少する可能性があること、走行環境要因に起因してストレスが発生する場合があることを示唆すること、脳波は心拍よりストレスを検出する時間的精度が高くなる可能性があることなどを発見した。 これらの成果は、査読付き論文4件(IF=3.8-6.4)と学会発表12件として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き、QAVsの乗務員と歩行者の感性を対象に、計測・モデル化・評価を行う予定である。具体的には以下のように計画している。 感性計測については、呉市商店街周辺で自動運転バスの走行実験、東広島市幹線道路で自動運転・隊列走行BRTの走行実験を各々実施し、QAVsの乗務員の感性データの蓄積と計測手法の改善を行う。 QAVsの乗務員および歩行者の行動モデル化については、脳波とその他の生体情報とのデータフュージョン手法を構築し、外部環境と感性との因果構造のモデル化を試みる。また、シェアード・スペース内の歩行者の行動規範を改善し、制度の高いシミニュレーションモデルを完成する。 感性の可視化による評価については、因果構造モデルのパタメータを用いた感度分析により、自動運転機能がストレス等の心の状態の変動に及ぼす影響について、一般性のある知見を得る。また歩行者のシミュレーションモデルを適用して、QAVsの通行規制や街路上の施設配置について、最適な施策の評価を試みる。
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