研究課題/領域番号 |
23K26232
|
補助金の研究課題番号 |
23H01538 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大下 和徹 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90346081)
|
研究分担者 |
福谷 哲 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (00332734)
西村 文武 京都大学, 工学研究科, 教授 (60283636)
中久保 豊彦 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70648766)
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252485)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
|
キーワード | 化石炭素 / 下水処理施設 / バイオマス / 界面活性剤 / マイクロプラスチック / 下水汚泥 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、下水処理施設における下水や汚泥に含まれる化石炭素の由来物質、およ び除去、排出挙動を明らかにする。具体的には、①複数の下水処理施設全体の化石炭素バランスを実調査により求める。②化石炭素の由来となる候補物質を同定し、実験室レベルでの好気/嫌気性生物処理実験による分解・分配特性を明らかにする。①と②を組み合わせ、下水処理施設全体での数理モデルを構築することで、化石由来炭素と生物由来炭素との除去・排出挙動の違いを学術的に体系化する。
|
研究実績の概要 |
(1) 3箇所の下水処理場における流入水(24時間サンプリングを含む)、5種類の汚泥の性状と化石炭素の分析を夏季、秋季、冬季に実施した上、全国29カ所の脱水汚泥中の化石炭素を分析し、以下の知見を得た。①流入水中化石炭素濃度は10.6±6.2g/m3-下水であり、夏期は秋期・冬期に比べ有意に低かった。②化石炭素の全炭素に対する比率は、平均で10~20%であり1日の中で大きく変動したが、特徴的な変動パターンは見られなかった。③最初沈殿池での化石炭素の除去は限定的であり、多くが生物処理で除去された。④嫌気性消化における化石炭素の分解率は非常に低く、消化汚泥に濃縮される傾向。⑤脱水汚泥の平均化石炭素比率は12.9±5.7%(n=29)。 2) 化石炭素の由来解析:由来物質を、アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)などの界面活性剤、およびマイクロプラスチック(MPs)粒子と仮定し、下水汚泥中のLAS等の測定方法を確立、加えて全国34カ所の脱水汚泥中MPs粒子の種類、個数を測定し1.8×10^3~26.4×10^3個/kg-dryのレベルで含有されることを明らかにした。 3) 標準物質および放射性ラベルトレーサーを用いた化石炭素の生物分解実験:由来物質としてのLASや代表的なMPs標準品を入手し、実験を準備した。 4) 下水処理・汚泥処理系の化石炭素挙動を対象とした統合数理モデル構築:2023年度は、1)、2)の途中経過の結果を用いて、モデルのパラメーター設定を行った。 5) 化石炭素CO^2の温室効果ガス(GHG)としての排出量を考慮した下水処理施設全体のLCCO2解析:特に1)の結果を用い、化石炭素CO2の温室効果ガス排出量を見積もった結果、全国で58.9±34.5万t-CO^2/年に相当し、直接排出されるGHGの16.3±9.5%を占め、その約35%が汚泥焼却由来であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 下水処理施設における化石炭素の挙動調査: 生物処理系の調査が残っているが、それ以外の調査を終えており、概ね順調に進展している。 2) 化石炭素の由来解析:MPsの調査を終えており、概ね順調に進展している。 3) 標準物質および放射性ラベルトレーサーを用いた化石炭素の生物分解実験:実験装置の準備を終えているが、条件設定を検討中であり、やや遅れている。 4) 下水処理・汚泥処理系の化石炭素挙動を対象とした統合数理モデル構築:一部のパラメーター設定を終えており、概ね順調に進展している。 5) 化石炭素CO2の温室効果ガスとしての排出量を考慮した下水処理施設全体のLCCO2解析:1年目で得られた結果より、排出量の概算は終えた。概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
1) 下水処理施設における化石炭素の挙動調査:生物処理廻りでの化石炭素の挙動調査を、曝気槽上部ガス中の化石炭素分析も含めて進める。新たにサンプリングした34ヵ所の下水汚泥中の化石炭素レベルも明らかにする。 2) 化石炭素の由来解析:サンプリングした34ヵ所の下水汚泥中に含まれる界面活性剤の分析を進め、1)の結果やMPsの結果を含めて由来仮説の検証を行う。 3) 標準物質および放射性ラベルトレーサーを用いた化石炭素の生物分解実験:やや遅れているため、実験条件の決定や、放射性ラベルトレーサ実験も含めて鋭意進める。 4) 下水処理・汚泥処理系の化石炭素挙動を対象とした統合数理モデル構築:1)~3)の結果を更新し、モデル構築を進める。 5) 化石炭素CO2の温室効果ガスとしての排出量を考慮した下水処理施設全体のLCCO2解析:粗計算は終了しているが、種々の結果を用いて精緻化を行う。
|