研究課題/領域番号 |
23K26236
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補助金の研究課題番号 |
23H01542 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
古米 弘明 中央大学, 研究開発機構, 機構教授 (40173546)
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研究分担者 |
西川 可穂子 中央大学, 商学部, 教授 (20345416)
比嘉 紘士 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (60770708)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2025年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 環境質定量化・予測 / 合流式下水道 / 雨天時汚濁制御・管理 / 健康リスク / 都市沿岸域 / 糞便汚染 |
研究開始時の研究の概要 |
都市沿岸域の水辺空間で快適に水遊びを行うためには、合流式下水道雨天時越流水起因の糞便汚染に伴う健康リスクを管理することが重要である。本研究では、夏季の連日採水調査をお台場海浜公園で実施するとともに、沿岸域における糞便汚染状況を再現可能な3次元流動水質モデルを用いて、降雨特性に基づいて類型化された降雨タイプごとに、大腸菌等の濃度変化データベース構築を行う。そして、降雨特性と発生降雨時の潮汐条件を考慮して海水浴の可否を判断できる予報システムの開発を行う。さらに、合流改善対策として導入された雨水滞水池、高速ろ過処理施設や市街地における雨水流出抑制施設による汚染低減効果を定量的に評価する。
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研究実績の概要 |
1)お台場海浜公園における糞便汚染に関する夏季の連日採水調査:お台場海浜公園における海水浴イベント(お台場プラージュ)の期間中に、水中スクリーンの内外で連日採水を実施した。また、港区の協力を得て上げ潮時と下げ潮時において採水された試料も入手した。そして、大腸菌、腸球菌、大腸菌ファージの測定を実施して、晴天時や降雨後の糞便汚染指標のデータを蓄積した。また、薬剤耐性菌の存在について試験的な分析も実施した。 2)降雨と潮汐条件を反映した糞便汚染の類型化と大腸菌濃度変化のデータベース化:区部の8排水区の降雨特性を用いた降雨の類型化を新たに行った。そして、類型化降雨グループごとの8排水区から発生する雨天時越流水量のばらつきを整理した。その結果、従来の区部13地点の降雨特性を用いた類型化に比較して、グループ内での雨天時越流水量のばらつきが大幅に低下することを確認した。そして、類型化降雨グループの代表的なイベントを対象に、大潮と小潮において降雨が発生するとして、その降雨開始を満潮や干潮など潮位の異なる時点に設定して、既存の3次元流動水質モデルで降雨後のお台場における大腸菌濃度変化を計算した。これにより、様々な潮汐条件における大腸菌濃度変化のデータベースを作成した。 3)沿岸域3次元流動水質モデル解析と汚濁対策シナリオ分析:汎用性の高い3次元流動・生態系モデルであるEcoPARIを基礎にしたお台場周辺海域のモデル構築に着手した。そして、過去に実施した降雨後水質調査データのあるイベントについてモデル計算を実施した。出水時における隅田川河口付近の塩分濃度や沿岸域での大腸菌濃度の再現性に課題はあるものの、今後のモデル解析計算の基盤を構築した。また、東京都下水道局により合流改善対策の下水道施行令改正から令和4年度までに設置導入された雨水滞水池などによる貯留量データを入手して、その整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)お台場海浜公園における海水浴イベント期間中に連日の表層採水を計画通りに行い、大腸菌、腸球菌、大腸菌ファージの測定が実施できた。また、薬剤耐性菌の存在について試験的な分析も実施した。 2)区部の8排水区の降雨特性を用いた降雨の類型化を新たに行い、類型化降雨グループの代表的なイベントを対象にモデル計算を実施した。そして、お台場における大腸菌濃度変化データベースを作成した。 3)汎用性の高い3次元流動・生態系モデルであるEcoPARIを基礎にしたお台場周辺海域のモデル構築に着手して、そして、過去の降雨後水質調査データのあるイベントについてモデル計算を実施して、今後のモデル解析計算の基盤を構築できた。 4)合流改善対策のため下水道施行令改正から令和4年度までに設置されてきた雨水滞水池などによる貯留量データを東京都下水道局から入手して、整理を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)糞便汚染に関する夏季の採水調査:2024年度も継続してお台場海浜公園における海水浴イベント期間中における採水調査を実施して、大腸菌などの糞便汚染指標データの蓄積を継続する。また、糞便汚染に関連付けた大腸菌の薬剤耐性の表現型および薬剤耐性遺伝子の多様性を評価する調査を本格的に実施する。 2)データベースを活用した海水浴予報システムの構築:様々な潮汐・降雨条件でのお台場海浜公園における大腸菌濃度変化のモデル計算結果を活用して、変化特性と降雨や潮汐との関係を整理する。そして、濃度変化データベースに基づいた降雨後の水浴の適否の判断する海水浴予報システムの枠組を構築する。 3)沿岸域3次元流動水質モデル解析と汚濁対策シナリオ分析:新たに構築したお台場周辺海域モデルによる降雨後の塩分と大腸菌の濃度変化の再現性を向上させる。また、雨水貯留施設の導入など合流改善対策シナリオを反映できるようなサブモデルの組み込みを進める。
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