研究課題/領域番号 |
23K26250
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補助金の研究課題番号 |
23H01556 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
瀬古 繁喜 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50507259)
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研究分担者 |
奥川 雅之 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50290747)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | コンクリート / 欠陥 / 散乱型中性子線測定装置 / 自動走査 / 自動判定手法 / 自動判別手法 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、CFT造やSC造のような鋼材とコンクリートの合成構造や、免震構造等の構法が採用される機会が増えている。本研究は、このような合成構造において、コンクリートの充填欠陥発生の抑制のために、コンクリート打込み時及び硬化後に鋼板の外側から欠陥を定量的に評価する仕組みを確立する。 そこで、低強度のラジオアイソトープ(RI)線源による散乱型中性子線・ガンマ線測定装置を取り上げ、遮へい材や減速材の仕様等を最適化させて50mm角程度の欠陥の検出を可能とし、 装置を自動で連続走査させる機構を実現してRIカウントの増減傾向から欠陥や内部鋼材の位置・大きさを判別する関係式を導き自動で定量的に特定する手法を確立する。
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研究実績の概要 |
1、鋼板下面で装置を連続的に移動させる機構について、磁気による吸着とモーターによる走行部を組み合わせた移動装置を検討している。測定装置の移動のためには鋼板とはある程度の空間を設けることが必要となることから、測定装置と鋼板の距離(ギャップ)が測定精度に及ぼす影響を実験的に検討した。本実験では、ギャップを0mm、0.4mmから3.2mmとした場合での測定値の変化と測定精度の変化を確認した。その結果、0.8mmのギャップでは測定値は1%程度低下する程度であることから、1mm以内程度のギャップであれば判別の精度にも影響を及ぼさないことが分かった。 2、試験体として、鋼製型枠の幅1000mm×厚さ240mmの大きさで、厚さ8mmの鋼材を測定面とした裏面中央には100mm角×厚さ10mmの発泡スチロールを配置してコンクリートを打込んだ空隙ありの試験体を用意して、連続走行測定の実験を実施した。10mmごとに5分間ずつ停止して測定する間隔測定と、移動速度を10mm/分および20mm/分の連続測定とした。実験結果より、連続測定データでは、3分間(180個)分ごとの区間平均値を算出する方法で整理した。間隔測定の場合と、連続測定する場合とで、空隙の範囲とその周辺でRIカウントが低下する傾向はほぼ同じであった。連続測定によるデータを先ずは区間平均して算出する方法によって空隙の有無は判別できると考えられる。 3、検出器の近辺でのガンマ線を検出できる能力を向上させることを目的として、カドミウムおよび鉛を用いることとし、それらの設置場所として検出器の周りと線源の周りの2パターンを設定した。各材料と配置において、検出されるカウント数を比較したところ、いずれの材料、いずれの設置方法においても、カウント数に有意な差が見られず効果は確認できなかった。材料の効果はシミュレーション等で今後確認する
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、磁気吸着による密着移動機構の検討については、鋼板上面で測定装置を移動させる機構において、測定装置と鋼板の間の空間(ギャップ)寸法が測定精度に及ぼす影響を実験的に確認し、ギャップ寸法が1mm以下程度であれば測定精度は影響を受けないことを確認できた。 2、連続測定データの判別手法の検討については、先ず1秒ごとに記録される連続測定データをもとにして、3分間(180個)分の一定時間ごとの区間に分けて区間平均値を算出する方法を検討した。その結果、10mmごとに3分間ずつ停止して測定したとした実験の場合での空隙位置での測定値の低下傾向と、連続測定データを3分間ごとの区間平均値で整理した場合の空隙位置での測定値の低下傾向はほぼ同様に得られることが確認できた。 3、ガンマ線シンチレーターの配置と遮蔽機構の検討については、検出器の近辺でのガンマ線を検出能力の向上のために、カドミウムおよび鉛を取り上げ、それらの設置場所として検出器の周りと線源の周りの2パターンで実験を行った。その結果、いずれの材料においても、またいずれの設置方法においても、カウント数に有意な差が見られず効果は確認できなかった。 以上、当初予定した目標に対しては概ね順調に到達できている。
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今後の研究の推進方策 |
1、測定装置を鋼板上で連続的に移動させる方法として、磁力吸引による密着移動機構を利用し、鋼板上面で走行させる場合と下面で走行させる場合の両方の移動にについて、装置の試作を行うことでボルト頭や接合プレート等を踏破する仕組みを確立する。 2、空隙の大きさなどの条件を変えた試験体の連続測定データを実験により蓄積し、空隙等を判別するためのデータ処理として移動平均等の適正な手法を決定する。また、空隙の大きさ等を変えた試験体での、データの低下勾配や範囲等の定量化を検討する。 3、熱中性子カウントのデータとガンマ線カウントのデータを併用することによる空洞/鋼材の判別式を、実験的に検討する。
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