研究課題/領域番号 |
23K26260
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補助金の研究課題番号 |
23H01566 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山口 容平 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40448098)
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研究分担者 |
下田 吉之 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (20226278)
内田 英明 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (90837387)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 脱炭素化 / エネルギー需要モデリング / 人行動シミュレーション / 建築設備 / 民生家庭・業務部門 / エネルギー需要モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は民生家庭・業務部門、旅客交通部門の脱炭素化検討に資するエネルギー需要モデルを開発する。モデルは個人・世帯、住宅・建築物の単位で国民・ストックの全数を個別に模擬するエージェントベースのモデルであり、様々なデータソースに基づいて行動、設備・機器所有・仕様等のエネルギー需要決定要因を特徴づけ、ばらつきや地域的差異を表現する。また、全国民の生活行動シミュレーションに基づいて需要を定量化する。これにより行動変容を含む多様な対策を網羅的に扱うこと、対象3部門のエネルギー需要総体を模擬することが可能である。様々な需要分野(食料、医療、防災、健康等)への応用を含め、方法論の体系化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は民生家庭・業務部門、旅客交通部門の脱炭素化検討に資するエネルギー需要モデルを開発する。モデル世界で最も詳細な時空間解像度を持つことを目指し、①Sufficiency/Efficiency/Renewableの対策群の網羅、②民生家庭・業務部門、旅客交通部門のエネルギー需要総体のモデル化、③国家地域の脱炭素化のシナリオ分析の支援が可能な分析能力を持つものとする。本年度は、開発モデルの基本設計を行った。前述の分析機能を実現するため、①個人、世帯、住宅、業務施設の単位で実存する対象を模擬する人口、住宅建築物ストックを再現する合成人口・住宅建築物ストックモデル、②人の時間の使い方、移動などの生活行為を生成する人行動シミュレーションモデルとした。加えて、両モデルに必要なデータベースを構築し、プロトタイプの開発を行った。特に、②で使用する生活時間データ、流動人口データ等の解析に重点を置き、個人の生活行動を確率的に模擬するモデルを開発し、住宅、旅客交通の時空間的整合性を実現し、広域かつ高い時空間解像度でエネルギー需要を定量化することができるようにした。ケーススタディを行い、基本的なモデルの機能の検証を終了した。業務施設を対象とするモデルについてEnergy and Buildings誌に学術論文1本が採択されたほか、モデルの設計に関する発表1本、住宅、旅客交通の人行動シミュレーション、その統合化に関する論文2本を国際会議Building Simulation 2023において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は民生家庭・業務部門、旅客交通部門の脱炭素化検討に資するエネルギー需要モデルの開発を目的としている。モデルは個人・世帯、住宅・建築物の単位で国民・ストックの全数を個別に模擬するエージェントベースのモデルであり、様々なデータソースに基づいて行動、設備・機器所有・仕様等のエネルギー需要決定要因を特徴づけ、ばらつきや地域的差異を表現する。このうち、合成人口・住宅建築物ストックモデル、人行動シミュレーションモデルはプロトタイプの開発が終了し、全国民の生活行動シミュレーションが可能となった。加えて、旅客交通需要推計のための流動人口データの解析がある程度完了した。対象とする3部門のエネルギー需要総体を模擬することを目指しているが、住宅、旅客交通についてはプロトタイプで統合化を終了している。このように、おおむね順調に進捗していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度のプロトタイプを拡張し、2024年度には1)流動人口データによる外出・移動行動のモデリング、2)人行動シミュレーションに基づく民生家庭部門、旅客交通部門の需要モデル開発を完了する。人行動のモデリングについては、生活時間データの解析を行い、長期的な経年変化、空間的な生活行動の差異を考慮できるようにする。外出行動について流動人口データによる外出・移動行動を決め、それに基づいて住宅内行動を決める手順を確立する。旅客交通については自動車のエネルギー消費に注目し、電気自動車への代替によってもたらされる二酸化炭素排出量削減効果、電力需要調整力の推計を行うことができるようにする。これにより高い時空間解像度で民生家庭部門、旅客交通部門の需要、調整力を推計することができる。業務部門についても開発を進め、稼働スケジュールの調整により業務施設利用者の行動を反映できるようにするほか、施設利用者の滞在データを流動人口データから整備する。2025年度には住宅、業務施設、旅客交通の時空間的整合性を保ったシミュレーションができるようにする。各部門での推計が可能になった時点で社会変化シナリオを想定し、エネルギー需要、二酸化炭素排出量の変化を定量化する。これにより開発モデルの有用性を確認する。また、2025年度は人の生活行動シミュレーションの他分野への応用可能性、需要モデリング手法の体系化を検討する。
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