研究課題/領域番号 |
23K26298
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補助金の研究課題番号 |
23H01604 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 雅章 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60512085)
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研究分担者 |
矢代 茂樹 九州大学, 工学研究院, 教授 (00452681)
小野寺 壮太 九州大学, 工学研究院, 助教 (00907016)
野田 淳二 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (00398992)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | CFRP / 成形プロセス / マルチフィジックス / 計算科学 / 熱流体構造連成 / 熱構造連成 |
研究開始時の研究の概要 |
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)複合材料の製造プロセスとして,AFP(Automated Fiber Placement)自動積層とオートクレーブ成形に着目して,有限要素解析に基づく熱・流体・構造連成を考慮したマルチフィジックス解析の基礎を構築するとともに,その実験的検証を実施する.これにより,均一硬化で欠陥レスなCFRP構造形成のためのプロセス設計の知見を確立する.
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研究実績の概要 |
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)複合材料の自動積層とオートクレーブ成形による製造プロセスを取り上げ,使用する材料や設計したい構造形状に対して製造プロセスを適応的に設計可能な力学シミュレーション技術の確立を目指すとともに,その基礎となるマルチフィジックス計算科学の基盤を構築することを目的としている. 有限要素解析に基づいて強制対流条件でのオートクレーブ成形における熱の流れのモデル化を熱・流体・構造解析を連成させて実施した.まず,オートクレーブ装置を2次元でモデル化し,CFRPを載せるツールの材料の違いによる影響を調べ,材料の熱伝導率や容積比熱が均一な加熱や設定温度への追従に与える影響を明らかにした.次に,異なる構造形状による影響を調べた結果では,曲線を含む形状の成形では曲線を含まない場合と比べて渦がよく生じ,複雑な流れになりやすい傾向が明らかとなった.構造形状に依存して,その流れが伝熱を促進したり妨げるケースが生じており,加熱挙動における重要な因子と判明した.さらに,3次元解析に拡張して実際のオートクレーブ成形時の赤外線温度測定結果と比較を行い,計測結果を一定程度再現可能な実条件に近い解析モデルを構築した. また,AFP(Automated Fiber Placement)積層時欠陥を赤外線サーモグラフィとその画像解析により検出する方法を検討した.曲面を有する型上に模擬したAFP欠陥に対して検出手法の適用可能性を実験と有限要素解析から評価した.この考え方を応用して,オートクレーブ成形中の赤外線画像を用いた成形時欠陥のモニタリングを試み,積層ギャップ欠陥の可視化が可能となった.またAFP積層後の成形過程をモデル化する熱・流体・構造連成解析モデルを構築し,欠陥消失プロセスへの成形条件の影響を定性的に評価可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,(1)熱・流体・構造連成解析によるCFRPオートクレーブ成形のモデル化,および,(2)AFP製造プロセスを対象としたテープ積層体の成形実験とモデリングについて検討を実施した.(1)はオートクレーブ内のマクロスケールの流体場と加熱される構造の熱伝導を連成させた力学解析モデルを基礎としており,(2)はCFRPプリプレグテープ内の繊維と樹脂をモデル化したミクロスケールの流動現象を温度場と連成させた力学解析モデルを基礎としている.これらのモデルにより,プロセス中の温度分布,および,成形条件と成形時の材料メカニクスの相関を明らかにするための力学シミュレーションの基礎を構築することができた. また,赤外線サーモグラフィを用いてオートクレーブ内で温度計測可能な実験方法を検討してきており,一定程度,計算結果と比較して妥当な測定結果が得られており,改善点はあるが,おおよそ確立してきたと言える.力学シミュレーションや実験方法を活用して,種々の成形条件に対してCFRP中の欠陥形成・消失プロセスや成形中の温度分布を評価することが可能となってきたと言える. 今後,これまでに検討した手法をCFRP中の樹脂の硬化過程(相変化過程)に関する評価と連携することで,CFRP成形中の欠陥低減や均一硬化を目的とした成形の力学を解明する研究へと発展させることが可能な状況となっている.
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今後の研究の推進方策 |
オートクレーブ成形のモデル化について,3次元解析モデルによる検討をさらに高精度化し,局所的な温度分布を再現できるように改良を進めるとともに,成形用のツールの材料や成形品の形状の違いによる温度分布への影響を調査する.また,CFRPの硬化反応時の発熱を考慮した解析を行うために力学モデルの改良や解析手法の拡張を実施し,成形時のCFRPの現象を扱える力学モデルへと発展させる. 成形時の欠陥形成・消失過程の評価について,機械学習や深層学習のアプローチを赤外線画像解析に活用することで,積層条件と欠陥の発生状況,温度の過渡応答の変化への影響についてその関係を調査する.得られた実験結果を用いて,これまでに検討している成形時の流動に関する熱・流体・構造連成解析のモデルを検証し,実験現象を定性的に説明可能な力学モデルを確立する. 新たにプリプレグの硬化過程(相変化過程)についても実験的に評価し,これまでに構築してきた熱・流体・構造連成解析に組み込むモデルを力学的なメカニズムを含めて検討することで,均一硬化で欠陥レスなCFRP構造を形成するためのプロセス設計を支援可能な力学シミュレーション技術へと発展させる.
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