| 研究課題/領域番号 |
23K26300
|
| 補助金の研究課題番号 |
23H01606 (2023)
|
| 研究種目 |
基盤研究(B)
|
| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分24010:航空宇宙工学関連
|
| 研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津田 伸一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00466244)
|
| 研究分担者 |
渡邉 聡 九州大学, 工学研究院, 教授 (50304738)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
| 配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
|
| キーワード | 液体水素 / 量子性 / 気液相平衡 / 気液相変化 / 乱流 / キャビテーション / 沸騰 |
| 研究開始時の研究の概要 |
固体壁面に接して流れているマイナス250℃程度の液体水素が,気体に相変化する過程の一部を,まずは量子分子動力学法と呼ばれる個々の水素分子の運動を直接追跡できる手法(前年度までに構築してきている計算手法)により継続的に模擬する.これにより,液体水素中における気泡の初生速度(1秒間に生成される気泡数)を評価する.また,水素気泡の初生速度を考慮したマクロな熱流動の数値計算を,流れの乱れの影響を的確に模擬できる手法を用いて実施する.以上を通して,液体水素を燃料として用いる液体ロケットの推進系機器の設計開発において非常に重要となる,水素の気液相変化を伴う熱流動解析技術の確立を目指す.
|
| 研究実績の概要 |
本研究では,H3ロケットに代表される大型液体ロケットのエンジン心臓部にあたる液体水素燃料の供給用ポンプで発生するキャビテーション現象(強い乱れを伴う流れ場の低圧の領域で生じる気液相変化現象)を対象としたうえで,既往の研究において見捨てられている気液相変化の微視的性質を正しく考慮できる数理モデルの構築を目指している.そのための一環として,2024年度は,①気液相変化の微視的性質を正しく考慮するために必要な気液表面物性に及ぼす水素特有の物性の影響評価,②気液相変化の微視的性質を考慮したキャビテーション流れの巨視的計算手法の改善点の特定,の2点を進めた.このうち①については,気液間に形成される分子スケールの気液界面厚さおよび表面張力に対して及ぼす,水素分子特有の量子性(粒子性と波動性の二重性)の影響を,量子分子動力学シミュレーションにより数値的に調べた.その結果,水素の量子性は,気液界面厚さを大きくする一方,表面張力を低下させていることが明示された.また,両者に対する量子性の影響は,水素分子間の相互作用パラメータにより定量的に説明し得ることを見出した.なお,①は当初計画では予定していなかった内容であるものの,気液相変化における液体窒素(量子性が顕在化しない流体でかつ実験が比較的容易)と液体水素(量子性が顕在化する流体でかつ実験が困難)における共通点を見出すための鍵となる重要事項である.一方,②については,前年度までに構築した気液相変化の微視的影響を考慮できる巨視的な計算手法について,精度改善に向けた基礎検討を実施した.その結果,気液界面近傍における蒸発量および液相側からの入熱量について,前者の過大評価ならびに後者の過小評価を防ぐための計算手法構築が必要なことが明らかになった.
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にもある通り,本研究では微視的な研究と巨視的な研究の双方を行ってきている.このうち,微視的な研究について,今年度は当初計画とは異なる解析を実施したこともあり,遠回りしているようにも見えるが,より学理の深層に迫り得るものとして行った内容であり,重要な知見を着実に得てきている.また,巨視的な研究についても,解析精度の向上のために必要な計算因子の特定が進んできており,研究全体としては概ね順調に進展していると判断される.
|
| 今後の研究の推進方策 |
今後の微視的解析については,これまでに構築してきている量子分子シミュレーション手法を用いて,固体壁面近傍における液体水素の気液相変化を数値的に模擬する.これにより,壁面の有無の影響に加え,壁面温度が飽和温度よりも高いときの発泡開始までの待ち時間を評価する.なお,この待ち時間の逆数は,「核生成速度」と呼ばれる気泡の発生速度を定量づける重要な指標となる.以上を通して,壁面温度にも依存する核生成速度を数値的に取得するとともに,その結果を普遍的に表現し得る数理モデルに落とし込む.また,既に構築してきている巨視的な熱流動解析プログラムに核生成速度の数理モデルを取り入れたうえで,液体水素のキャビテーションの流れ計算を実施し,既往の実験結果との比較・検証を進める方針である.
|