研究課題/領域番号 |
23K26347
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補助金の研究課題番号 |
23H01653 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大佛 俊泰 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00211136)
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研究分担者 |
岸本 まき 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (20880074)
廣川 典昭 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特定准教授 (20899041)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 防災・減災 / シミュレーション / 災害情報 / 物的被害 / 大地震 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,これまでに開発されてきた防災・減災関連の各種モデルを,入出力データの仕様の共通化を図ることで一体化し,様々な災害事象が相互に依存しながら連鎖的に生起する災害の全体像を記述することのできるシステムを構築する。また,同時に,発災後に収集蓄積される災害情報を既知条件とすることで不確実性を低減させ,より現実に近い条件のもとで逐次シミュレーションを実行することのできるシステムを開発する。このシステムを用いて防災訓練やフィールド実験などを実施し,これまで見過ごされてきた危険性や課題を検出すると同時に,これらを克服するための防災・減災支援の在り方について検討する。
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研究実績の概要 |
防災・減災に関するシミュレーション研究は,無数に存在する不確実性をどの様に取り扱うかに大きく依存している。従来までは,不確実性をある所与の条件(想定条件)として外生的に与えることで議論や分析を容易にしてきた。しかし,実際の災害発生時の状況は想定条件とは大きく異なる可能性があり,現実の防災・減災対応への応用を困難にしていた。 そこで,本研究では,①実績のある既存モデル群によって大きく異なる想定・入力・出力情報を明確化し,モデル相互の依存関係を整理すること,②各モデルを同一のプラットフォーム上で連携させ,様々な事象が連鎖して生起する災害の全体像を記述するシステムを構成すること,③次々に収集される早期災害情報を与条件としてシミュレーションを繰り返し実行することのできるシステムへ拡張すること,④フィールド実験をとおして本システムの有効性を検証し,効率的で効果的な防災・減災対策について科学的視点から総合的に議論することを目的としている。2023年度においては,特に①②④の目標を達成するために,国内外の関連研究論文等に関する調査を行うとともに,国際会議等において類似研究に従事している研究者に対してヒアリング調査を試みた。また,国際会議において本研究課題で想定しているシステムの全体像に関する研究発表を行い,研究構想に不足している要素や拡張すべき機能などについての確認を行った。さらに,本システムが災害時だけではなく,平常時にも活用可能であることを検証するため,公立小学校4年生が地域の危険個所などを調査して作成する「安全マップ」作成の授業において使用してもらい検証を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①物的被害を記述するモデル群(建物倒壊モデル,道路閉塞モデル,火災延焼モデル),人的被害を記述するモデル群(避難意思モデル,経路選択モデル,避難行動モデル),人間活動を記述するモデル群(地域住民による消火活動モデル,救助・救援行動モデル,消防隊による消防活動モデル,消防車両移動モデル)に関して,国内外において提案・開発されてきた類似モデルについて文献調査を行った。 ②実績を有するモデル群について,それぞれの異なる想定条件や入力・出力情報を整理し,モデル相互の依存関係の整理を行った。具体的には,データの精度・粒度・内容(データ項目やカテゴリー分類の方法など)について調査・整理することで,本課題研究で構築するシステムのデータ仕様の作成に着手した。 ③防災・減災を目的として国内外でこれまでに提案・開発されてきた,比較的大規模なシステム群(災害情報収集システムなど)に関する文献調査を行った。また,防災・減災分野における著名な国際会議において研究課題のフレームワークに関して発表し,国外の研究者からのコメントを頂くとともにヒアリングを試みた。 ④国内における著名な学術論文と海外における著名な学術団体(ISPRS)におけるデジタルアーカイブ(Annals)に研究成果の一部をそれぞれ学術論文として発表した。 ⑤本システムが災害時だけではなく,平常時にも活用可能であることを検証するため,公立小学校の児童(4年生)が地域の危険個所などを調査する「安全マップ」作成の授業(総合的な学習(探究)の時間)において使用してもらい検証を試みた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降に向けての研究の推進方策は以下のとおりである。 ①本年度に整理したモデル群のデータ入力情報・出力情報の関係性をもとに,モデル群を相互に連携させることで,様々な事象(地震動,家屋倒壊,道路閉塞,出火,延焼など)が相互依存しながら連鎖的に生起する災害の全体像を記述するための基本フレームを構成することを目指す。また,物的被害の下での人間行動・活動を記述するモデル群についても相互に連携させることで,様々な人間行動・活動(避難,救助,救援,消火など)を記述するための基本フレームを構成することを目指す。 ②国内外において防災・減災を目的として提案・開発されてきた,比較的大規模なシステム群(災害情報収集システムなど)に関する調査結果をもとに,各システムの特徴や限界について整理することで,本研究で開発するシステムの基本フレームについて検討を行う。 ③国内外における著名な学術論文や著名な国際会議において,研究成果の一部を学術論文として発表すると同時に,研究者との情報交換をとおして今後の課題研究を推進するうえで必要となる情報収集に努める。
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