研究課題/領域番号 |
23K26366
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補助金の研究課題番号 |
23H01672 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木原 工 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (80733021)
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研究分担者 |
XU XIAO 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20781389)
池田 暁彦 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (90707663)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 磁気熱量効果 / 比熱 / 熱伝導 / 強磁場 / ホイスラー合金 / 磁気冷凍 |
研究開始時の研究の概要 |
磁性体に外部磁場を印加することで磁性体が自発的に発熱/吸熱する「磁気熱量効果」を用いた磁気冷凍は、ガスの断熱圧縮/膨張を利用した従来の気体冷凍に代わる次世代の冷凍技術として高い注目を集めている。実現の鍵となるのは、室温付近で巨大な磁気熱量効果を示す物質の開発であるが、これまでの巨大磁気熱量効果は磁場誘起構造相転移に伴い発生していたため、磁場ヒステリシスによるエネルギーロスが問題となっていた。本研究では、従来注目されてきた格子振動に起因するエントロピー変化ではなく、伝導電子の運動(状態密度)に起因するエントロピー変化に注目することで、上述のヒステリシスの問題を根本から解決することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、微小磁歪を通じて状態密度が磁場で急峻に変化する物質を開発し、ゼロヒステリシスで動作する新規磁気冷凍材料の実現を目指す。まず、状態密度の磁場変化が大きいと予想され、かつヒステリシスの全くない負の磁気熱量効果が見出されているホイスラー合金NiCoMnGaの磁場誘起オーステナイト相について、負の磁気熱量効果の起源を解明する。具体的には、パルス強磁場中のX線回折、および比熱測定を駆使して結晶構造と状態密度の磁場依存性を直接検証する。次に、より巨大な状態密度変化が期待されているCo基合金を用い、パルス強磁場下で磁気熱量特性の評価を行う。
本年度は、比熱や磁気熱量効果などの熱物性を強磁場下で精密に測定するために、スーパーキャパシタを用いたロングパルス強磁場発生装置の立ち上げと測定系の整備を行った。約25Tまでの充放電テストにも成功した。パルス幅は、通常の非破壊パルス強磁場のそれと比較して10倍以上長い。従って、渦電流による発熱等を抑制でき、試料温度の精密な計測が可能になると期待できる。
更に、ホイスラー合金Co2NbSnの多結晶試料を用いて磁化や電気伝導性などの基礎物性評価を行った。また、9 Tまでの定常磁場下で熱起電力測定を行った結果、スピン揺らぎやマグノンなどの磁気的効果によって大きなSeebeck効果を示すことが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロングパルス強磁場発生装置の作製は順調に進展している。比熱測定については、パルス磁場用の測定プローブの整備は途中であるが、東北大金研の定常強磁場を使った実験も同時に進めており、こちらもおおむね順調と考える。加えて、Co2NbSnの物性評価や熱起電力に関して新たな知見が得られるなどの成果も出ており、全体として順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
強磁場下の熱測定に関しては、測定系が整い次第、磁気熱量効果や比熱などの実験を進めていく。また、パルス強磁場X線回折実験を進める。
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