研究課題/領域番号 |
23K26382
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補助金の研究課題番号 |
23H01689 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐藤 幸生 熊本大学, 半導体・デジタル研究教育機構, 教授 (80581991)
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研究分担者 |
森分 博紀 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (40450853)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 強誘電体 / ドメイン / 電子顕微鏡 / その場観察 / 界面 / 粒界 / 交流電場 |
研究開始時の研究の概要 |
誘電体・強誘電体セラミックスにおける「ドメイン壁」や「粒界」などの「界面」領域が誘電特性に与える効果の起源は未解明であり、その特定は更なる特性向上への界面設計指針を与えると期待される。 そこで本研究計画では、誘電特性における界面効果の起源を本質的に解明することを目的として、電場印加で生じる界面微小原子変位の直接測定を試みる。 その手段として、「原子分解能交流電場印加その場電子顕微鏡法」を開発し、この手法の適用と理論計算の併用で、ドメイン壁の効果、粒界効果の起源を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年度には、代表者が有する「電圧印加その場電子顕微鏡法」を従来の直流電圧下における観察のみではなく、交流電圧の印加下で観察を行うことができるよう、装置等の整備、試料作製や実験手順などにおけるノウハウ等の構築などを行った。また、今年度以降に行う単一粒界試料を対象とした観察を行うための試料作製装置として、単結晶接合用のホットプレス炉導入を行った。いずれも順調に進めることができ、交流電圧下でのその場電子顕微鏡観察を行うことができるようになり、詳細については後述するが、一部強誘電体試料への適用も行った。また、ホットプレス炉については稼働試験を行った。 上記で確立した交流電圧印加その場電子顕微鏡法を高性能圧電単結晶として知られる0.68Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-0.32PbTiO3(PMN-PT)試料に適用して、交流分極処理中のドメイン構造の応答を調べた。その結果、交流電場の印加によるマイクロドメインの生成や消失などが認められた。これらの知見は同試料における交流分極処理による圧電特性の向上や長時間での処理による特性の低下(過分極)のメカニズム解明につながると考えられる。本成果については、現在、論文投稿に向けて原稿を準備中である。また、今年度以降に交流電圧の印加下で行う予定の高精度原子分解能走査透過型電子顕微鏡(STEM)法を誘電体試料のチタン石試料に適用した。Geの添加により極性構造の微細化が原子スケールで直接確認された。本成果については、現在、共同研究者が論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記の「研究実績の概要」で述べたように、当初計画していた、交流電圧の印加下における「電場印加その場電子顕微鏡法」の確立を無事に行うことができた。加えて、今年度以降に使用する単一粒界試料作製用の設備も整い、順調に研究計画が進行している。 さらに、上述のように「交流電場印加その場電子顕微鏡」法の適用で、圧電単結晶PMN-PTにおける交流電圧の印加によるドメイン応答に関する新しい知見が得られたことやチタン石における極性構造の微細化が観察されたことは当初想定していた以上の結果であった。これらの成果は論文投稿準備中、あるいは、論文投稿中であり、順調に成果公表が進んでいる。また、圧電単結晶PMN-PTにおけるドメインの応答などについては、日本金属学会誌「まてりあ」に論文が掲載された(佐藤、まてりあ、62巻、781-788、2023年)。加えて、本研究計画の一環として、第一原理計算を行っていたPb(Zr,Ti)O3組成変調超格子における局所構造解析の論文が出版予定となっている。(Sato et al., J. Mater. Sci., in press)これらの研究成果などにより、多数の学会発表等を行っているほか、研究代表者(佐藤)はThe American Ceramic Societyから"Richard M. Fulrath Award"を受賞した。 また、今年度以降の実験に向けても着々と準備が進んでおり、使用予定の電場印加ホルダーが原子分解能STEM装置でも使用可能であることをすでに確認済であり、予定しているドメイン境界や単一粒界での交流電場下原子分解能STEM観察への準備を整えるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はこれまでに確立した「交流電場印加その場電子顕微鏡」を適用して、BaTiO3の90°ドメインウォール、ないし、180°ドメインウォールでの原子分解能STEM観察を行い、期待されるドメインウォールの振動に相当する現象の解析を行う予定である。本観察にはBaTiO3単結晶試料を用い、その場観察用の試料はすでに調整済である。また、並行して、BaTiO3の90°ドメインウォールや180°ドメインウォールに電圧を加えた際の原子位置の変化について、第一原理計算を行う予定である。 また、今年度に明らかとなった圧電単結晶PMN-PTにおけるドメイン応答の解析も引き継ぎ行う予定である。これまでに実験を行ったドメイン応答の交流電圧印加時間依存性に加えて、電界強度依存性も明らかにする予定である。加えて、近年、高温非鉛圧電セラミックスとして有望視されており、我々が極性ナノ構造の形成を確認した(Kim et al., Adv. Mater., 2023)BiFeO3-BaTiO3(BF-BT)セラミックス試料についても交流電圧印加による極性構造の応答を調べる予定である。 さらに時間が許せば、次年度に実験を行う予定であった単一粒界試料の作製および界面分極の直接観察にも着手する。単一粒界試料はSrTiO3単結晶2枚を接合することでバイクリスタル試料を作成することで準備する。バイクリスタル試料の作製条件等はすでに確立しており(Takehara, J. Mater. Sci., 2014.)、直ちに実験着手が可能である。
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