研究課題/領域番号 |
23K26386
|
補助金の研究課題番号 |
23H01693 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
|
研究機関 | 一般財団法人総合科学研究機構 |
研究代表者 |
大石 一城 一般財団法人総合科学研究機構, 中性子科学センター, 主任研究員 (60414611)
|
研究分担者 |
駒場 慎一 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (20302052)
杉山 純 一般財団法人総合科学研究機構, 中性子科学センター, 特任研究員 (40374087)
村中 隆弘 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70398577)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
|
キーワード | 電池材料 / 電荷移動機構 / オペランド測定 / 中性子散乱 / ミュオンスピン緩和 / ナトリウムイオン電池 / ハードカーボン / 負極 / イオン拡散 / 中性子小角散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
二酸化炭素排出量を大幅に削減するためには、蓄電池の高性能化が必要不可欠である。蓄電池の大容量化のためには、電池動作時におけるイオン濃度(組成)、構造及びイオン拡散の総合的理解が必要となる。しかし、現在これらを観測する手法は確立していない。これまでに、我々は、電池動作時におけるオペランドミュオンスピン回転緩和実験環境を整備した。そこで本研究では、オペランド中性子小角散乱・中性子回折実験環境を実現する。これにより、充放電時の「組成変化」、「構造変化」及び「イオン拡散係数の変化」を総合的に理解し、電池材料内のミクロな電荷移動機構を解明する。
|
研究実績の概要 |
蓄電池の大容量化のためには、電池動作時におけるイオン濃度、構造及びイオン拡散の総合的理解が必要となる。本研究では、充放電時の「組成変化」、「構造変化」及び「拡散係数の変化」を中性子及びミュオンを用いたオペランド測定で観測し、充放電時におけるこれらの変化の相関を総合的に理解する。「組成」、「構造」及び「拡散係数」の相関から、電池材料物質のイオン拡散挙動を解明することにより、高容量化及び高入出力化を実現する電極物質開発へ指針を与える。 初年度となる2023年度は、オペランドミュオン実験、及びオペランド中性子小角散乱実験用電池セルの開発・予備実験を実施し、以下のような実績を得た。 ナトリウムイオン電池正極材料であるナトリウム酸化物を用いてオペランドミュオン実験を行い、ナトリウムイオンの自己拡散係数のナトリウムイオン濃度依存性を観測した。ナトリウム酸化物NaxCoO2では、CoO2面の積層の仕方により結晶構造がP型とO型を有することが知られており、これらの結晶構造の違いによるナトリウムイオン拡散の違いについて明らかにした。また、中性子小角散乱用のオペランド電池セルの開発を行い、オフライン(中性子無し)測定の実施、及び中性子を用いた予備実験を行った。 以上の研究成果を国際誌に発表するとともに、国際会議及び学会等で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミュオン実験については、ナトリウム酸化物における充放電過程におけるナトリウムイオンの拡散係数の観測の実施及び論文化に至っており順調に進んでいる。また、中性子小角散乱実験においては、透過散乱を検出するためのオペランド中性子小角散乱用電池セルの開発を行い、オフラインでの充放電測定及び中性子を用いた予備実験を実施できており、おおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ミュオン実験については引き続きオペランド測定によるイオンダイナミクスの測定を実施する。また、中性子小角散乱実験については、ハードカーボンを用いたハーフセルを組み、オペランド測定を実施して微細空孔サイズ及びグラフェン層間長のナトリウムイオン濃度依存性の観測を行う。また、新たな負極材料開発により得られた試料を用いたオペランド測定を実施し、「組成」、「構造」及び「拡散係数」の相関を総合的に理解する。
|