研究課題/領域番号 |
23K26394
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補助金の研究課題番号 |
23H01701 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松崎 亮介 東京理科大学, 創域理工学部機械航空宇宙工学科, 教授 (20452013)
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研究分担者 |
轟 章 東京工業大学, 工学院, 教授 (50211397)
上田 政人 日本大学, 理工学部, 教授 (80434116)
平野 義鎭 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (90425786)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 複合材料 / 3Dプリント / 炭素繊維 |
研究開始時の研究の概要 |
近年, 3Dプリント技術で連続炭素繊維複合材料を造形することが可能になりつつあるが,従来の3Dプリンターでは強度低下の要因となるボイドが残留している.本研究は,ボイドを2%以下に減らすために,ボイド形成機構の解明と特殊ノズル開発を目指す.樹脂の低粘度状態がボイド形成に影響していることに着目し,ノズル近傍の材料内部温度分布とボイド形状の時刻歴変化に基づき,樹脂流動からボイドトラップ・残留までの機構を明らかにする.
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研究実績の概要 |
近年,航空宇宙構造に用いられる連続炭素繊維複合材料の実用的な3Dプリントが可能になりつつある.しかし,従来型の3Dプリンターでは樹脂用ノズルを代用しているため,体積含有率にして10%程度のボイドが残留し,強度低下の要因になっている.本研究では,ボイドを2%以下とした連続炭素繊維複合材料の3Dプリントを実現するため,3Dプリント時のボイド形成機構を解明する.さらに,メカニズム理解に基づき,ボイド極小化実現のための特殊ノズル開発を目的とする. 2023年度は,3Dプリント時のボイド発生過程を明らかにするため,3Dプリントのノズル温度の条件を変化させた時の,ノズル通過後のフィラメントとベッド融着後のフィラメントのボイド率の変化の測定を行った.ノズル温度に依存するが,ノズル通過後はボイド率が大きくなることがあることを明らかにした.また高温条件では,ノズル通過後に比べ,ベッド融着後はボイド率が大きく低下した.これは,高温時は樹脂の流動性が高くベッド融着時にボイドに樹脂が流れ込むためボイドが低減したと考えられる. ノズル温度はベッド融着後のボイド率に影響しており,ノズル温度の最適化によりボイド率を減少できることを示した.さらに,ガラス製の透明ノズルを製作して,連続繊維複合材料の3Dプリントを行い,ボイドの形成過程についてその場観察を行った.また,ボイド率の計測に加えて,3Dプリントによる炭素繊維束の形状の崩れの評価も実施した.炭素繊維束の崩れの程度を数値で定義し,これを厚さ方向強度と比較すると,強い正の相関関係があることを示した.3DプリンティングされたCFRPのボイドの非破壊検査に向け,サブマイクロ精度のX線CT観察に関する検討を実施した. また,高品質な3Dプリントを目的として,2フィラメントの連続繊維を印刷可能な3Dプリンタの試作を実施し,連続炭素繊維とPLAの複合材を成形して引張試験を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,連続炭素繊維3Dプリント時の,ボイド形成過程について検討を進めることができている.
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今後の研究の推進方策 |
今後,ボイド形成機構の理解に基づき,ボイド低減を目的とした3Dプリンタノズルの最適設計と作製を行う.また,プリント条件は多岐にわたり,それらの条件の影響を把握するために,実験に多くの時間を要する.したがって,効率的に実験を進める工夫も必要であり,今後並行して取り組んでいく.
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