研究課題/領域番号 |
23K26400
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補助金の研究課題番号 |
23H01707 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小嶋 隆幸 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (10732183)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
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キーワード | 金属間化合物触媒 / 合金触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
金属などの固体を用いた触媒反応は、反応種が触媒表面に吸着し、表面で反応を起こし、生成物が脱離する、といった素過程から成る。吸着は反応種と触媒原子の化学結合であり、化学結合は電子の共有なので、触媒が持つ電子がどのような状態なのかが触媒機能を支配する。また、反応場は触媒表面なので、表面の構造が触媒機能に大きく影響する。異種金属が規則的に配列した金属間化合物は元の金属と異なる電子状態を有し、表面にも規則構造があらわれ特異な触媒機能が発現し得るため近年注目されている。金属間化合物の電子状態も表面構造も結晶構造に大きく依存するため、本研究では結晶構造が触媒機能に与える影響の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
プロピン水素化反応に対する触媒特性(活性・選択性)は、結晶構造に大きく依存するのではないかという結果を得ていた。結晶構造が同じで最隣接原子間距離が同程度ならば、類似した触媒特性が得られていた。これについて本年度、さらに実験・解析を進めた。原子間距離については、最隣接原子だけでなく、中心原子の周囲の原子すべてについて調べて比較した。その結果、結晶構造が同じでも原子間距離が異なれば触媒特性が異なり、反応種にとっては異なる反応場と認識していることが示唆された。また、同じ結晶構造で様々な元素の組み合わせが可能なホイスラー合金の触媒特性を評価したところ、pブロック金属による特徴が強く表れることが明らかとなった。このことを考慮して、結晶構造と触媒特性の相関を示唆する一連のデータについて再考察したところ、結晶構造とpブロック金属がプロピン水素化反応に対する触媒特性を支配していることが示唆された。一般的には、遷移金属種が主に触媒活性を担うと考えられており、本研究においてもアンモニア分解反応に対してはそのような傾向が見られた。一方、本研究でプロピン水素化反応に対して得られた知見は従来の常識を覆すものである。また、機械学習を利用して類似の結晶構造をクラスタリングして2次元空間にマッピングし、構造と物性の相関を可視化する手法が報告されているため、それを本研究にも適用した。さらに、H2-D2交換反応に対する触媒活性および活性化エネルギーの評価を一部の試料について行った。これらはまだ予備的なものであるが、上記考察の妥当性をおおよそ支持するような結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験で得られたプロピン水素化の特性だけでなく、プロピレンの水素化、H2-D2交換反応、機械学習を利用した解析により、総合的に考察することができた。ホイスラー合金を用いたpブロック元素の特徴評価と併せて、遷移金属種よりも結晶構造およびpブロック元素が重要だという新しい知見を得ることができた。本研究課題の目的が容易に達成できるようなものではないことを考慮すると、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
H2-D2交換反応に対する触媒活性および活性化エネルギーの評価をさらに進め、炭化水素の水素化反応において重要となる水素の解離吸着に関する知見を得ることで、反応メカニズムの解明を進めていく。機械学習を利用した解析も着手したばかりで、現状は公開済みのデータと照らし合わせているところなので、さらに詳しく解析を進めて研究目的達成に近づけていく。また、現状では調べていない合金系についても触媒特性評価の対象を広げていく。
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