研究課題/領域番号 |
23K26402
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補助金の研究課題番号 |
23H01709 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
趙 研 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00633661)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | 金属積層造形 / 軽量高温耐熱材料 / 組織制御 / マッシブ変態 / 力学特性 / 金属additive manufacturing / TiAl合金 / ラメラ組織 / 軽量耐熱合金 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、金属3Dプリントの超急冷現象によって、TiAl合金にてマッシブ変態が安定的に誘起されることが発見された。しかし、この特殊な相変態の素性は学術的に解明されていない。本研究では、溶融部の熱履歴に着目し、理論解析と実組織解析を融合することで、TiAl合金におけるマッシブ変態の正確な発生条件と原子レベルでの組織の特徴を明らかとする。さらには、それらに基づきプロセス中の組織発展挙動を解明する。以上により、これまで見過ごされてきたマッシブ変態を活用したTiAl合金の新奇組織制御法を確立する。
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研究実績の概要 |
マッシブ変態の発生を制御する上で重要となるのは、どの程度の速さで冷却した際に、何℃で相変態が生じるか(相変態条件)を解明するとともに、形成されたマッシブ粒の形状に及ぼすプロセス条件および相変態条件の影響を理解することである。そこで2023年度は、電子ビーム粉末床溶融結合法にてビーム電流や走査速度を変えてTiAl合金シングルビード試料を作製し、溶融部を電子顕微鏡法で解析した。その結果、形成された結晶粒の形態と構造から、複数のプロセス条件にて同変態が発生することを確認した。さらには、プロセス条件に応じてマッシブ粒の形態(結晶粒形)や同変態を経て形成されるナノラメラ粒の形態が大きく変化することを明らかとした。これは、溶融池が凝固後に生じる相変態の挙動がプロセス条件に強く依存することを示唆している。今後は、このシングルビード試料作製時の溶融池近傍における熱履歴について、有限要素法を用いた伝熱解析により明らかとする。これにより、TiAl合金においてマッシブ変態が生じる冷却速度を明らかとする。 加えて、2023年度は、力学特性に及ぼすナノラメラ粒の影響を調査するため、同組織を有する造形体の高温疲特性に関する調査を実施した。その結果、同組織は、疲労き裂発生の原因となり、疲労特性を低下させることがわかった。しかし、ナノラメラ粒の粒界をセル状組織が被覆することで、この疲労特性の低下を抑制可能であることも明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、TiAl合金シングルビード試料の作製に成功し、電子ビーム粉末床溶融結合法にて安定的にマッシブ変態が生じることを明らかとした。これに加えて、当初の予定を超えてマッシブ粒およびナノラメラ粒の形態に及ぼすプロセス条件の影響とナノラメラ粒およびセル状組織と疲労挙動の関係も明らかとした。これは、力学特性と微細組織の関係を解明する上で極めて重要な知見であることから、当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、有限要素法を用いた伝熱解析により、マッシブ変態が生じる条件を探る。ここでは、シングルビード実験における各プロセス条件での溶融池形状をもとに熱源を設定し、熱源を走査させた際の溶融部とその近傍の温度分布の時間変化を計算する。その結果と、シングルビード試料における微細組織解析結果を合わせることで、同変態が生じる冷却速度を明らかとする。さらには、ナノラメラ粒を有する造形体を作製し、そのクリープ特性を評価する。クリープ試験後の試料を組織解析することで、力学特性へのナノラメラ粒の寄与を解明する。
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