研究課題/領域番号 |
23K26405
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補助金の研究課題番号 |
23H01712 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
生駒 嘉史 九州大学, 工学研究院, 助教 (90315119)
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研究分担者 |
荒井 康智 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙技術部門, 主任研究開発員 (90371145)
河口 沙織 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (00773011)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | 高圧相変態 / SiGe合金 / 結晶多形 / 準安定相 / 半導体材料 / 比抵抗 / 熱伝導率 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体材料であるシリコン―ゲルマニウム合金について、結晶多形である非ダイヤモンド結晶構造群を創製し、新奇物性の解明により、環境や人体に優しい高効率光-電気変換素子や熱電素子応用を目指す。高輝度X線回折、インデンテーションによる高圧相変態・多形生成挙動解明、高圧ねじり加工法による多形相図とバルク結晶作製、理論計算による物性予測・新奇物性の解明からデバイス応用を追求する。
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研究実績の概要 |
初年度は、SiGe合金の高圧相変態により得られる準安定相について、①Ge濃度および付与ひずみによる影響の調査と、②準安定相を含むバルクナノSi1-xGexの比抵抗および熱伝導特性を調査した。 ①でのSiGe準安定相には、主にSiで観察される立方晶のbc8相と、Geの準安定相である正方晶のst12相が考えられる。先行研究でのSi0.5Ge0.5結晶の場合、bc8型の準安定相が得られているが、bc8/st12境界となるGe濃度の詳細は不明である。本年度は、特に高Ge濃度領域について、組成傾斜結晶とTraveling Liquidus-Zone法により育成した均一組成Si1-xGex結晶を用い、ビッカーズインデンテーションにより導入した圧痕部分の顕微ラマン分光測定によるスペクトル変化を調査した。その結果、Ge濃度が70~80 at%の間で200 cm-1付近のピークに変化が現れることがわかった。また境界付近の組成では、インデンテーション時の荷重や保持時間によりラマンピークに変化が生じることがわかった。これらの結果は、Si1-xGex合金におけるbc8/st12相の境界組成は高Ge濃度域に存在すること、さらにbc8/st12相境界濃度付近では、付与ひずみにより現れる準安定相が変化することを示している。 ②のバルクナノSi1-xGex形成にはHigh-Pressure Torsion (HPT)を用い、公称圧力24 GPaにて加工を行った。Geリッチ組成の場合、比抵抗は圧縮のみ場合で1桁減少し、10回転のHPT加工後ではわずかに上昇した。これは格子欠陥によるキャリア増大と半金属的bc8相の形成に加えて、結晶粒微細化に伴うキャリア散乱による変化と考えられる。また熱伝導率はHPT加工前より1桁減少することがわかった。これは結晶粒微細化と準安定相形成による影響と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、初年度はSi0.5Ge0.5に関する準安定相ならびに物性調査を予定していたが、先行研究を考慮してbc8/st12境界組成である高Ge濃度Si1-xGex結晶を中心に実験を進めた。組成傾斜および組成偏差が±1%以内の均一組成Si1-xGex結晶のインデンテーション実験により、bc8/st12境界となるGe濃度に関する知見が得られた。さらにbc8/st12境界濃度付近では、付与ひずみ条件により現れる準安定相が変化することがわかった。 またHPT加工により得られたバルクナノSi1-xGexでは、準安定相と結晶粒微細化により、電気的・熱的特性が変化することを示した。
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今後の研究の推進方策 |
bc8/st12準安定相境界では、Ge組成に加えて付与ひずみ条件に依存してラマンスペクトルが変化することがわかった。しかし、bc8およびst12準安定相に対応するラマンピークの同定が必要である。準安定相とラマンピークとの関連を明らかにするため、SPring-8にてダイヤモンドアンビルセルによるX線回折とラマン散乱分光の同時測定を行う。さらに加圧に伴う高圧相変態および減圧時の相変態挙動について、詳細な観察を行う予定である。 さらに本年度導入したHPT装置を用いて高Ge濃度でのSi1-xGex結晶の加工を行い、付与ひずみ条件が異なる場合の準安定相形成と物性変化を調査する。
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