研究課題/領域番号 |
23K26408
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補助金の研究課題番号 |
23H01715 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
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研究分担者 |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | セラミック半導体 / バンドギャップ / 可視光応答 / 細胞接着 / 細胞プリンター |
研究開始時の研究の概要 |
TiO2膜上に細胞を播種し,紫外光をその背面から照射すると,細胞の接着を制御できる。本研究では,その細胞応答が,半導体表面で生じる電位変化,光電流やOHラジカルの発生等,どの現象に支配されているか,静電的な引力・斥力,接着タンパク質の変性による現象か,どのような経時変化を辿るのか等,その機序を明らかにする。その知見を基に,光応答型セラミック半導体への不純物ドーピング,ナローギャップ半導体膜の利用,半導体のヘテロ接合により量子効率の改善を試みる。最終的に,微弱光応答性を付与したセラミックス膜とタブレット端末を利用した新規な原理に基づく細胞の3次元造形手法を提案する。
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研究実績の概要 |
酸化物膜への不純物ドーピング:ターゲットに純Tiと純Nbを用いた2源スパッタリングによって(Ti,Nb)O2膜を合成した。Nbを添加すると400-500 nm付近に付加的な光吸収が観察された。Nb添加によって,紫外光照射(UV)による光電流は減少したが,タブレット端末の白色光照射(WL)によるそれは増加し,ある添加量でピークを示した。同様の手法でBaTiO3膜へNb添加を試みた。BaTiO3はTiO2とBa(OH)2から合成し,圧粉してターゲットとした。XRDパターン等から,Nbがドーピングされていることは確認されたが,UV,WLに対する光応答は鈍化した。 ナローギャップ半導体膜の合成:α-Fe2O3圧粉体をターゲットとしたスパッタリングにより,同膜の合成を試みた。Ar-O2雰囲気に比べ,Ar雰囲気で合成した場合,WL照射によって発生する光電流が大きくなった。基礎吸収波長も長波長側にシフトした。純Wのスパッタリングにより合成したWO3膜では,WL照射によって明瞭な光電流が発生した。光照射から遮光すると逆方向に急峻な光電流が発生した。その現象はWO3の結晶粒が小さくなるほど強くなった。粒界がコンデンサーのような振る舞いをしたと推察している。 半導体ヘテロ接合:スパッタリングにより,ATiO3とTiO2を積層すると,光電流・起電力は,それぞれの膜で生じるそれらの和を超えることはなかった。しかし,ATiO3に酸処理を施し,表面にTiO2膜を合成すると,起電力は著しく向上した。半導体接合により一様な拡散電位が形成されたと考えている。 タブレット端末を利用した多種細胞の2Dパターン培養:汎用型タブレット端末上にFe2O3膜,WO3膜を設置し,骨芽細胞を播種した後,背面からWL照射を行った。いずれも光照射領域に依存した局所的な細胞接着は認められなかったが,良好な接着特性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた項目にはすべて着手できた。ATiO3に対する不純物ドーピングにおいては,想定していたより,光応答の可視光応答性が向上しなかったが,α-Fe2O3膜やWO3膜において,雰囲気ガス依存性や微細組織依存性等,興味深い現象が明瞭に観察された。細胞試験において,まだパターン培養は達成できていないが,いずれの合成膜にも生体為害性が認められないことを実験的に確認できた。以上より,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,計画通りに研究を進める。また,α-Fe2O3膜やWO3膜においては,その光応答性を向上させる目的で,Pt担持も試す。
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