研究課題/領域番号 |
23K26410
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補助金の研究課題番号 |
23H01717 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
柴田 曉伸 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究センター, 上席グループリーダー (60451994)
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研究分担者 |
森戸 茂一 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (00301242)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
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キーワード | 水素脆性 / マルテンサイト鋼 / バリアント選択 / クラック伝播挙動 |
研究開始時の研究の概要 |
カーボンニュートラル社会実現のためには,これまで以上に様々な材料・環境における耐水素脆性特性を担保していかなければならない.個々の材料の対処療法的な研究ではもはや対応していくことは不可能であり,水素脆性を抑制するためのユニバーサルなミクロ組織制御指針をメカニズムに基づいた理論的な背景から確立していく必要がある.本研究では,粒界セグメントの結晶学的特徴・局所化学組成を制御した材料の水素脆性特性を評価して,ミクロ組織 / 水素脆性特性 / クラック伝播挙動の相関を議論することによって,破壊メカニズムに基づいた水素脆性特性向上を実現するミクロ組織制御法を提案することを目指す.
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研究実績の概要 |
水素脆性とは材料中に水素が侵入することによって,材料が著しく脆化する現象である.2030年までの温室効果ガス削減目標およびその後の2050年のエネルギー転換とカーボンニュートラル社会実現のためには,これまで以上に様々な材料・環境における耐水素脆性特性を担保していかなければならず,水素脆性を抑制するためのユニバーサルなミクロ組織制御指針をメカニズムに基づいた理論的な背景から確立していく必要がある. 本研究では,代表的な高強度鋼である低炭素マルテンサイト鋼の水素脆性粒界破壊を対象とし,(i) オーステナイト粒界でのマルテンサイトバリアント選択制御法を確立し,(ii) 粒界セグメントの結晶学的特徴・局所化学組成を制御した材料の水素脆性特性を評価する.そして,(iii) クラック伝播挙動をX線CTおよびFIB-SEMシリアルセクショニングによりマルチスケール解析し,ミクロ組織 / 水素脆性特性 / クラック伝播挙動の相関を議論することによって,破壊メカニズムに基づいた水素脆性特性向上を実現するミクロ組織制御法を提案するものである. 本年度は,水冷により作製した焼入れままマルテンサイトの水素脆性特性を,丸棒試験片を用いた引張試験およびコンパクトテンション試験片を用いた破壊靭性試験(除荷コンプライアンス試験)により,特に,破壊靭性値(JIC)およびティアリングモデュラスに着目して評価した.さらに,クラック伝播挙動について,X線CTおよびFIB-SEMシリアルセクショニングにより3次元解析を行った.また,低炭素鋼である3Mn-0.2C鋼を用いて,冷却速度を種々変化させて作製したマルテンサイト組織をSEM-EBSD等を用いて結晶学的な観点から正確にキャラクタリゼーションし,冷却速度とマルテンサイト組織特徴 (特に粒界セグメント性格)の相関解明に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
引張試験および破壊靭性試験により水素脆性特性を評価するとともにクラック3次元伝播形態の解析を行った点,および冷却速度とマルテンサイト組織特徴 (特に粒界セグメント性格)の相関解明に着手した点から,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,種々の加工熱処理により作製したマルテンサイト組織を正確にキャラクタリゼーションすることによって,オーステナイト粒界でのマルテンサイトバリアント選択 (粒界セグメントの結晶学的特徴) 制御法確立に関する研究を重点的に推進していくとともに,得られたマルテンサイト組織の水素脆性特性評価およびクラック伝播挙動解析を本年度と同様に実施していく.
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