研究課題/領域番号 |
23K26417
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補助金の研究課題番号 |
23H01724 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐々木 朋裕 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40432067)
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研究分担者 |
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00533639)
プラムディタ ジョナス 日本大学, 工学部, 准教授 (50615458)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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キーワード | 異種材接合 / マルチマテリアル / 残留応力 / 非破壊検査 / 異材接合 / レーザー干渉計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,異種金属,および金属とプラスチック等の異材接合体を対象として,光学計測を応用した非破壊評価法を提案する.異材接合体に可逆的な範囲で与えた微小変形挙動を可視化し,接合プロセスに伴う材料のミクロ組織の変化,残留応力,およびマクロ変形挙動との相関を明らかにする.計測工学,材料力学,および材料組織学の複合的観点による基礎研究から,異種材料接合体の変形機構の根本的な理解を図る.以上より得られた知見を応用し,非破壊,非接触,広視野測定が可能,かつ多様化する接合 材質に対応した新しい評価技術を創出することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究は,異種材接合体の微小変形挙動を光学的全視野計測で可視化,および微細組織評価により,変形に関わる材料物性の応力依存性を明らかにすることを第1の目的としている.次に,実験結果を基に,微小変形挙動から応力状態を推定するための数値解析モデルを構築する.この中で,2023年度は,接合プロセスにより生じた残留応力場が,微小変形挙動に与える影響,およびその要因となる弾性率,熱膨張係数などの材料物性,および材料組織因子を中心に調べた.また,光学計測系においては研究代表者らが開発したレーザー干渉計による変形の可視化装置を改良し,微小変形を与える方法,および測定,解析精度の最適化を図った.具体的には,2次元的な変位場の可視化が可能な光学計測装置に対して,短波長レーザー光源(干渉測定用)を追加し,三次元の変位場の測定を可能とした.さらに,測定視野,空間分解能向上のための高解像度CMOSカメラ,光学系(位相シフト機構),および解析プログラムの改良により測定可能なひずみの分解能,定量性の向上させた.以上の装置を用いて,疲労試験における材料変形の可視化を行った.また,接合部に対して可逆的,かつ光学計測で検出可能な微小変形を与える方法として,低出力の赤外レーザーによる局所加熱を行う機構を装置に組み込み,局所熱変形の可視化を可能とした.また,測定対象となる異材接合体に対しては,X線回折,ひずみゲージ法等の従来法による残留応力や電子線後方散乱(EBSD)を用いた界面組織評価を行い,接合により生じた残留応力および材料組織の変化を調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心となる光学計測に対しては,購入予定であったレーザー光源,その他計測装置の価格高騰や納期遅れにより,装置の製作に若干の遅れが生じたが,その後の実験は概ね当初の計画通り進行している.また,実験対象となる異材接合体の作成,および微細組織評価については予定よりも遅れが生じている一方で,上記光学計測装置と併用した解析技術の作成については,予定よりも早く進行しており,その成果を論文にまとめる段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に製作した光学計測装置,およびそれらを用いた非破壊検査実験において得られた結果をもとに,赤外線レーザーにより誘起した局所熱変形を再現可能な数値解析モデルの構築を進める.研究分担者との連携により,き裂,空洞等の構造的欠陥,組織などのミクロ組織因子,弾性率,熱伝導,熱変形の応力依存性を考慮した材料モデルを提案する.同時に,これまでに研究協力者との共同研究の中で検討してきた変形の不均一性を考慮したメゾ力学的観点による材料変形のモデル構築についても議論を進める.光学計測の結果をフィードバックしながら,モデルの妥当性を評価するとともに,応力依存性を考慮した微小変形の熱-構造連成解析モデルへと発展させる.これらの研究サイクルを継続しながら,非破壊測定技術の開発へとつなげる.計測系においては,以上の研究が予定より早く進行した場合には,ガルバノスキャナやゴニオステージによって赤外レーザー照射位置を走査する機構等を追加し,測定の位置精度,視野の拡大,高速化を図る.また,測定対象を繊維強化プラスチック,金属・セラミックスなどの複合材料に広げ本手法に関わる物理現象の議論を深める.
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