研究課題/領域番号 |
23K26431
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補助金の研究課題番号 |
23H01738 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 俊介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60452273)
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研究分担者 |
池野 豪一 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30584833)
村田 秀信 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (30726287)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 電気化学触媒 / 電荷移動 / 遷移金属イオン / 混合 / 反応速度 / 酸素発生反応 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らはこれまでに,電解による酸素発生反応を促進させるための電気化学触媒の研究開発を行い,数々の候補材料を提案してきた.一連の研究の中で,複数種の遷移金属イオンを含有する酸化物が,それぞれの遷移金属イオンを単一に含有する酸化物に比べて高い活性を示す現象を発見し,それが構造や組成に依らず多くの酸化物で成り立つことを実証してきたが,そのメカニズムは未だ不明である.そこで本研究では上記知見に基づき,異種遷移金属イオンを複数種含有する酸化物触媒の活性向上のメカニズム,特に相乗的な電荷移動促進作用の解明を行い,酸素発生触媒の設計基盤の確立ならびに新規高活性酸素発生触媒の創成を目指す.
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研究実績の概要 |
研究代表者らはこれまでに,工業用電解プロセスや水の電気分解反応におけるアノード反応,すなわち酸素発生反応を促進させるための電気化学触媒の研究開発を行い,数々の候補材料を提案してきた.この研究の中で,複数種の遷移金属イオンを含有する酸化物が,それぞれの遷移金属イオンを単一に含有する酸化物に比べて,酸素発生反応に対して高い活性を示す現象を発見し,イオンの種類,結晶構造に依らず,多くの酸化物で成り立つことを実証してきた.この機構の解明を目指し,本年度は,高圧法を用いてペロブスカイト型酸化物CaFe1-xCoxO3を合成し,酸素発生反応に対する触媒活性を評価した. その結果,FeイオンとCoイオンの比を変化させても,それぞれのイオンの価数が変わらないことをX線吸収分光法により示すとともに,ペロブスカイト型酸化物CaFe1-xCoxO3は,その両端組成を有するペロブスカイト型酸化物CaFeO3とCaCoO3の加重平均よりも高い活性を示すことを明らかにした.特に,CaFeO3/CaCoO3への1 at.%程度のCo/Feドーピングは,酸素発生反応に対する触媒活性を著しく向上させた。すなわち,イオンの価数に依らない,CoイオンとFeイオンの混合がもたらした別の活性向上機構が働いていることを明確にした.以上の結果を受けて,研究分担者の池野を中心に,SQS(special quasirandom structure)モデルを用いた密度汎関数法(density functional theory)計算によって, CaFe1-xCoxO3に含まれるFeイオンおよびCoイオンのCharge-transfer energyとその分布をサイトごとに求め,活性向上の説明を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
異種遷移金属イオンを複数種含有する酸化物触媒の活性向上のメカニズム,特に相乗的な電荷移動促進作用の解明を行い,酸素発生触媒の設計基盤の確立ならびに新規高活性酸素発生触媒の創成を目指すことが本研究の目的である.既に本年度の成果によって,イオン種やその価数,構造のみが活性に寄与するのではなく,Charge-transfer energyによってその活性向上が予見できることを明らかにした.これは思いがけない研究の進展である.さらに本研究から派生して,加熱や冷却により可逆的に色が変化するサーモクロミック材料として,YIn0.9Mn0.1O3を発見した.この物質のサーモクロミズムの起源は主に,配位酸素の振動が熱によって増強されることと,三方両錐形多面体の変形が関係していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
以上のように,本年度の研究では,ペロブスカイト型酸化物CaFe1-xCoxO3の活性の起源に関して検討を行い,含まれるイオン種やその価数,構造のみが活性に寄与するのではなく,Charge-transfer energyによってその活性向上を説明できることを示した.今後の研究では,ペロブスカイト型構造以外の構造を有する物質を合成し,元素置換や元素添加と活性との関係性を検討することで,これまでに得た知見の適用可能範囲を明確にするとともに,活性と安定性がより高い触媒の探索を行う予定である.
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