研究課題/領域番号 |
23K26437
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補助金の研究課題番号 |
23H01744 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金指 正言 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10467764)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | シリカ系多孔膜 / 酸素分離 / 超低温 / 分子ふるい / 細孔構造制御 / 吸着特性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,高濃度までO2を濃縮できる高選択性O2分離膜(O2透過率: 10-7 mol m-2 s-1 Pa-1, O2選択性: >10)を開発する。具体的には,Si原子間に有機官能基を有する橋架け型オルガノシリカをベースにして,超低温分離に適した構造設計について検討する。そのうえで,分子サイズが近接したO2/Ar,O2/N2分離で高選択透過性を実現するための細孔構造制御法(分子ふるい,吸着親和性),また,操作条件によるO2選択性向上のため,現状のO2深冷分離の超低温 (~-180oC)でのO2吸着ブロッキングの影響を明確にする。
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研究実績の概要 |
本年度は,低温で生じる高分子膜の気体透過特性と課題を文献から考察し,無機膜であるシリカ系多孔膜による低温気体分離への応用可能性を検討した。超低温における膜モジュールの温度制御には,液体窒素とフロン溶媒を寒剤として用いた。断熱容器中に充填したフロン系の寒剤に膜モジュールを浸漬させ,寒剤を液体窒素で冷却することで低温域の温度制御を行なった。親水性が高いシリカ系材料では,Si-OH基密度が高いため,低温ではガス中の水分が膜に付着することで気体透過率が大きく減少することが明らかになった。吸着水の影響を抑制するために,疎水的なオルガノシリカを用いシリカ系多孔膜を製膜し,同様な透過実験を行なったところ,オルガノシリカ膜では,低温下における透過性の減少が生じないことを明らかにした。また,シリカ系多孔膜は,-115~200℃の長期透過試験前後で膜性能が変化することなく高い安定性を有することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に,超低温下における温度制御,膜モジュールのシール法など,超低温透過実験の概要を明確にすることができた。また,実際に低温透過実験を行なうことで,親水性なシリカ系材料で製膜した分離膜では,温度の低下とともに急激に透過率が減少することを明らかにした。200℃で膜のコンディショニングを行ない,低温透過実験前後の膜性能を評価した結果,透過率の急激な減少は,膜性能の不可逆な変化でないことを明らかにし,吸着水やSi-OH基の運動性の低下による透過性の低下であると結論づけた。-115~200℃の長期透過試験前後で膜性能が変化することなく,超低温分離のための製膜指針を明確にすることができたため,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに,カーボン数が小さい無機的なネットワークでは,低温下でも多孔的な構造を維持し,低温下におけるO2分離への応用の可能性を明らかにしている。2024年度は,Si-CH2-Si基を有するBTESM膜の低温O2分離への応用について検討する。具体的には,BTESM膜の焼成温度をネットワーク構造の制御パラメータとして,細孔構造(細孔径)を制御したBTESM膜のO2透過特性について評価する。特に操作条件(温度,圧力,供給組成)が,O2の吸着による表面拡散およびブロッキングに及ぼす影響を混合分離試験により評価する。
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