研究課題/領域番号 |
23K26442
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補助金の研究課題番号 |
23H01749 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
寺坂 宏一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00245606)
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研究分担者 |
藤岡 沙都子 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50571361)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | ウルトラファインバブル / ファインバブル / マイクロバブル / 粒子生成 / 核生成 / 気泡核発生 / 空間均一分布 |
研究開始時の研究の概要 |
ウルトラファインバブルは、水中でキャビテーション、圧壊、ラジカル発生など特異的な性質を持つため社会への普及が進んでいる。しかしその生成メカニズムが確定されていないためにウルトラファインバブル製造装置の開発や設計が適切に行われていない。さらに水中のウルトラファインバブルを原材料とした機能性材料開発など化学的分野への適応が進んでいない。 そこで本研究では、申請者が提唱するウルトラファインバブル生成理論の実証試験を行い、本理論をもとにウルトラファインバブルの特異性を生かした微粒子材料製造研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本年度は下記の研究課題(A)と(B)に取り組んだ。 (A)非凝縮性ガス分子とスチームの混合蒸気の急速冷却によるウルトラファインバブル水生成 気体分子が液体分子にくらべ分子拡散係数が極めて大きいことを利用し、水蒸気に各種ガスを空間均一的に混合させた。この混合蒸気を高速に冷却して液化凝縮させることで、水中にガス分子が空間均一的に過飽和で分布する凝縮水を作成した。研究代表者の仮説が正しければ、空間均一な過飽和溶存水では多数の気泡核発生が生じ、ウルトラファインバブルが多数発生すると。本実験結果では仮説通りの現象が得られ、本仮説がウルトラファインバブル生成のメカニズムとして正しいと結論を得た。このウルトラファインバブル生成メカニズムを利用した新規なウルトラファインバブル製造法として、非凝縮性ガスとスチームの混合蒸気の急速冷却凝縮法によるウルトラファインバブル製造法を確立し、実際に得られるウルトラファインバブルの数濃度やサイズ分布を計測した。 (B)非凝縮性ガスと水蒸気の混合気体の急加圧によるウルトラファインバブル水生成 研究代表者の仮説をもとに、減圧により気化した水蒸気と非凝縮性ガスを気相中で均一混合した後、大気圧まで急復圧させ得た凝縮水中でも多数のウルトラファインバブルが得られると予測できる。シリンジ内に予め非凝縮性ガスと水を封入し、体積膨張(減圧)により気化した水とガスとを均一に混合した。その後急激な体積収縮またはガス充填によって復圧(加圧)し、水中に多数の気泡核を持つ凝縮水を形成させ、ウルトラファインバブル水生成を実験的に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画が念入りに練られていたため順調に結果を取得できている。 (A)非凝縮性ガス分子とスチームの混合蒸気の急速冷却によるウルトラファインバブル水生成 仮説の実証に成功した。 (B)非凝縮性ガスと水蒸気の混合気体の急加圧によるウルトラファインバブル水生成 計画した通りに実験装置を製作し、実験データが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は計画通り、下記の研究課題(C)に取り組む。 (C)ウルトラファインバブル水の減圧急速スプレーミストドライによる濃縮 研究代表者はロータリーエバポレータ式減圧濃縮によるウルトラファインバブル数濃度濃縮に成功している。そこで本課題研究ではウルトラファインバブルの濃縮メカニズムの解明を試みる。研究代表者はつぎの仮説を提唱している。自由水面のゼータ電位は、ウルトラファインバブル-水界面のゼータ電位と同程度と考えている。DLVO理論を適用すると自由水面ともっとも近接するウルトラファインバブル群とは約100 nm以上の距離がある。一方減圧下では液ヘッドの影響が大きくなるため水分子の蒸発は自由水面の極近傍でのみ生じる。蒸発領域内に存在するウルトラファインバブルが無ければウルトラファインバブルは失われることなく水相の体積のみが減少するため、体積当たりのウルトラファインバブル個数は増加すると考える。 そこでウルトラファインバブル水を減圧スプレー塔に微細な霧状水滴として噴霧すればウルトラファインバブルは塔内で滞留中の水滴内部に維持され、水分のみが表面から蒸発・除去されれば、回収した水中のウルトラファインバブル数濃度は増加すると予想される。この仮説の実証が完了すればウルトラファインバブル濃縮装置として特許化を図る。
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