研究課題/領域番号 |
23K26452
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補助金の研究課題番号 |
23H01759 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
織田 晃 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80762377)
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研究分担者 |
沢辺 恭一 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (80235473)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | 固体酸 / 白金族元素 / ゼオライト / メタン / 選択酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、メタンを付加価値の高い物質に高効率かつ高選択的に酸化する触媒の開発に挑む。ゼオライトが創る固体酸白金族元素を活性点として用いる。固体酸の性質がゼオライトの結晶構造、局所構造、組成、位置に依存して劇的に変化する点に着目し、これらを触媒設計パラメーターとして捉え、触媒反応場を設計・探求する。白金族元素をゼオライトに内包させることは難しいとされてきたが、近年開発された一段階水熱合成手法を応用し、狙いの反応場の設計を実現する。種々のin situ分光と直接観察技術、計算科学の併用により、設計した触媒サイトの構造と活性起源を明らかにし、触媒設計指針を獲得する。
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研究実績の概要 |
本研究で挑むのは, 化学的に安定なメタンと酸素から一段階で望みの化成品へ低温低圧にも関わらず高選択的且つ高収量で合成する不均一触媒の設計である. ゼオライトサブナノ空間内に白金族元素を固体酸点として能動的に創出し, それらの構造や電子状態, 空間分布を超制御する. これらにより, 既存の化学では到底不可能なメタン選択酸化触媒を革新的に駆動する反応場の設計を狙う. 一段階水熱合成手法を用い, 種々の固体酸白金族元素を内包したゼオライト触媒の設計に成功した. 元素に依存してメタン選択酸化活性及び選択率が異なることを確認し, 特定の元素で高い活性が発現することを見出した. 固体酸の重要性を示すために, 固体酸非含有貴金属内包ゼオライト, 即ち白金族元素をナノサイズの金属状態で内包させたゼオライトを比較触媒として設計した. 予想に反して, メタンからメタノール、あるいは合成ガスへの選択酸化に対して著しく高い活性を示す触媒が見出された. これは当初予定してなかった成果である. これまで, 固体酸含有ゼオライトにおいてのみ著しく速い反応速度が観測されていたが, 本研究によって, 固体酸を用いないメタン選択酸化反応経路の有用性が示唆された. これを端緒として, 固体酸白金族元素に限らず, 固体酸フリーの金属内包ゼオライトを用いた研究も展開することにした. 上述の内容に加え, 貴金属を用いる本研究計画のきっかけとなった「エタンからエタノールへの選択酸化に有効なTiO2担持Pt触媒」におけるC-H酸化メカニズムを解明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固体酸白金族元素内包ゼオライトの合成手法及び, 比較触媒としての固体酸非含有ゼオライト (白金族元素をナノサイズの金属状態で内包させたゼオライト)の合成手法を確立できつつある. 概念実証のために用意した比較触媒が, 予想に反し, 極めて高い性能を示した. これにより, メタンを付加価値の高い物質に高効率で変換するための新たな反応場設計指針が得られた. また, 反応機構解析の手法を確立し, 本研究の立案のきっかけとなった触媒の特徴を明らかにし, 本研究計画へフィードバックした. 白金族元素の空間分布や局所構造を原子スケールで明らかにすることを当初予定していたが, 高倍率における直接観察過程でゼオライトがすぐさま崩壊し, 目的を達成できなかった. この問題を解消するためには, 白金族を内包したゼオライトの粒子径や形態を制御する必要があることを専門家との議論の末, 明らかにした. これらを踏まえ, 上記の進捗状況の区分を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
固体酸白金族元素に加え, 固体酸フリーな白金族元素内包ゼオライトも研究対象とし, それらのメタン選択酸化活性を究明する. 液相反応と気相反応における性能を評価し, 構造と機能の相関を明らかにしていく. 定量的に議論するため, 固体酸の濃度依存性も評価していく. 白金族元素の空間分布や局所構造を原子スケールで明らかにするためには直接観察が必須である. これを達成するためには, ゼオライトの粒子径や形態の制御が不可欠であることがわかってきた. これを踏まえ, ゼオライトのナノシート化や粒子径制御も行う. これらを用い, 内包金属の直接観察手法を最適化していく.
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