研究課題/領域番号 |
23K26454
|
補助金の研究課題番号 |
23H01761 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
満留 敬人 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (00437360)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
|
キーワード | 触媒 / ナノ粒子 / グリーンケミストリ― / 鉄 |
研究開始時の研究の概要 |
地殻中に豊富に存在するクラーク数上位の金属元素(アバンダント元素)の触媒能は、液相反応などの低エネルギーでの反応条件では著しく低活性である。そこで、本研究では、アバンダント元素で構成される高活性金属ナノ粒子触媒の創製を目指す。その戦略は、アバンダント金属元素 (Mn, Fe, Ti)ナノ粒子の結晶格子中に非金属元素 (C, N, P, B)を高活性化配位子として導入し、これら非金属元素と金属元素とで構成される新規な結晶性金属-非金属ナノ粒子を精密に制御・合成する。さらに、得られた金属-非金属ナノ粒子を機能性材料との複合化により高活性化し、これまでにない高い触媒機能を引き出す。
|
研究実績の概要 |
本研究は、マンガン、鉄、チタンなどの地殻中豊富に存在する金属元素を基材とした高性能触媒の開発を目指すものである。本年度はこの中で鉄触媒の開発に注力した。鉄は他の金属と比べ、極めて安価で汎用性が高く、毒性も低いことから理想的な触媒基材である。しかし、水素化反応に用いられる従来の鉄ナノ粒子触媒は、活性が著しく低いことが知られている。また、金属鉄ナノ粒子は大気に不安定で容易に酸化失活するため取り扱いが難しく、触媒を改良する手段も限定的となっていた。 そこで、本研究では、非酸化物系鉄化合物に注目した。非酸化物系鉄化合物を利用した触媒反応は、これまでにほとんど研究例がなく未開の探索領域となっていた。その結果、リン化鉄ナノ結晶(Fe2P NC)がニトリルの液相水素化反応に高活性を示すことを見出した。Fe2P NCは大気中安定で取り扱いやすく、予備還元も必要としない。また、様々なニトリルを一級アミンへと高選択的に変換し、高い再使用性も兼ね備える。さらに、種々の構造解析から、Fe2P NC中の鉄種は安定な低原子価状態を示すことが明らかとなった。これらの結果から、本触媒は、活性・大気安定性・耐久性を兼ね備える世界で初めての鉄触媒であることが明らかになった。本研究により、非酸化物系鉄ナノ化合物が従来の鉄系固体触媒とは全く異なる優れた触媒物質群となることが示唆された。本鉄触媒は高い安定性を有するため様々な改良が可能になる。今後、異種金属を複合化させた鉄触媒の可能性を探索していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界で初めて大気安定性と高活性を兼ね備える鉄触媒の開発に成功した。さらに開発した触媒は様々な液相分子変換を高効率に促進させることを見出していることから、計画以上に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後開発した鉄触媒の汎用性を検討する。また、マンガンなどの他の金属触媒の開発に着手する。
|