研究課題/領域番号 |
23K26460
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補助金の研究課題番号 |
23H01767 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
古南 博 近畿大学, 理工学部, 教授 (00257966)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 光触媒 / プラズモニック光触媒 / 助触媒 / 可視光 / ナノ粒子 / ユビキタス元素 |
研究開始時の研究の概要 |
プラズモニック型が研究されてから10~15年が経過し、近年は他の光触媒と組み合わせるなどの複合化の段階に移っている。本研究は、複合化の潮流には乗らず、プラズモニック光触媒と半導体光触媒の難問に正面から取り組む。つまり、「Au以外のプラズモニック光触媒は可能か?」、「極限高活性化する手段はあるか?」、「革新的な助触媒を開発できないか?」の3つの「問い」に近づく。様々な化学的手法を駆使して「ナノ粒子変性技術」を確立し、これにより、1)光触媒の機能を画期的に引き出すナノ粒子群の創発、2)不活性と思われていた元素やユビキタス元素の変性による革新的機能の創出、3)ナノ粒子の変性による多機能化、を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究はプラズモニック光触媒と半導体光触媒の難問に正面から取り組む。つまり、様々な化学的手法を駆使して「ナノ粒子変性技術」を確立し、これにより、1)それぞれの光触媒に要求される機能を画期的に引き出すナノ粒子群の創発、2)これまで不活性と思われていた元素やユビキタス元素の変性による革新的機能の創出、3)ナノ粒子の変性による多機能化、を目指す。これらのアプローチにより、Au以外のプラズモニック光触媒の創製、プラズモニック光触媒の極限高活性化、画期的な酸化還元特性を示す光触媒の開発に挑戦し、以下の成果を得た。 ①ユビキタス元素金属ナノ粒子の変性とプラズモニック光触媒への展開:Cuを第一候補として用いた。Cuナノ粒子は長波長領域(600 nm付近)にSPRを示すことが知られているが、我々の知る限りにおいて、安定なプラズモニック光触媒として作動するという報告例はない。Cuの価格はAuの価格の約1万分の1であるため元素戦略上極めて有利である。一方で、Cuナノ粒子はO2やCO2、H2Oと反応して変質しやすいという性質がある。そこで、TiO2上に固定化したCuナノ粒子の外表面にCr2O3層を形成することにより、Cuナノ粒子の安定化に成功した。調製したCr2O3/Cu/TiO2はプラズモニック光触媒として作用し、酸素雰囲気、可視光照射下、各種アルコールを対応するカルボニル化合物に酸化することを見いだした。 ②革新的助触媒の開発:酸化チタン光触媒による安息香酸のシクロヘキサンカルボン酸への核水素化において、Rh以外の元素は全く助触媒作用を示さない。この反応におけるRhフリー化を検討した結果、PdとRuを共存させると、Rh助触媒に匹敵する活性と選択性が発現することを見いだした。とくに、Pdコア-Ruシェル構造の形成が重要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ナノ粒子変性技術」に取り組み、2つの事例を明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
①ユビキタス元素金属ナノ粒子の変性とプラズモニック光触媒への展開:Cr2O3/Cu/TiO2プラズモニック光触媒を用いて可視光水素生成反応を検討する。また、新しい第二相として、シリカ、アルミナ、カーボン、FeOx、CoOx、MoOxなどを適切な方法でCuナノ粒子上に形成する。これらを通じて、Cuプラズモニック光触媒の安定化手法を確立する。 ②プラズモニック光触媒の新機能の創出:プラズモニック光触媒の触媒作用として、水素生成、選択酸化、酸素生成、水分解などに限定される。令和6年度は、これまでに報告例のない、プラズモニック光触媒の新機能を創出する。 ③革新的助触媒の開発:酸化チタン光触媒による安息香酸のシクロヘキサンカルボン酸への核水素化において、Pdフリー化をめざして、代替元素の探索、さらにRu単独使用における活性発現へと展開する。
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