研究課題/領域番号 |
23K26463
|
補助金の研究課題番号 |
23H01770 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
浅野 竜太郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80323103)
|
研究分担者 |
田中 良和 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20374225)
安永 正浩 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (80450576)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | 二重特異性抗体 / T細胞活性化因子 / プロドラッグ抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
二重特異性がん治療抗体への機能性分子の融合は、より強力な薬効が期待できるが副作用も懸念される。一方、抗体の結合部位を阻害する配列でマスクしておき、がん組織送達後に外すことができればプロドラッグ抗体となる。本研究は、機能性分子のマスクとしての利用を検討する。二重特異性抗体の結合能と機能性分子の機能を互いに阻害するように融合し、がん組織送達後に両機能が回復するような新規プロドラッグ抗体のデザイン開発を目指している。
|
研究実績の概要 |
二重特異性がん治療抗体への機能性分子の融合は、より強力な薬効が期待できるが副作用も懸念される。一方、抗体の結合部位を阻害する配列でマスクしておき、がん組織送達後に外すことができればプロドラッグ抗体となる。本研究は、機能性分子のマスクとしての利用を目指している。二重特異性抗体の結合能と機能性分子の機能を互いに阻害するように融合し、がん組織送達後に両機能が回復するような新規プロドラッグ抗体のデザイン開発を進めている。 本年度は、1) 二重特異性抗体と協働するT細胞活性化因子の探索、と、2) 抗T細胞抗体とT細胞活性化因子との融合検討、を進めた。T細胞は主シグナルであるCD3を介した活性化に引き続く、共刺激分子の作用により持続的に活性化される。共刺激分子として4-1BBとCD28に対するアゴニスト抗体の配列を文献情報から入手し、一本鎖抗体 (scFv) として組換え体を調製した。これらのscFvを二重特異性抗体に添加したところ、T細胞存在下でのがん細胞傷害活性が優位に向上することが明らかになった。また、抗腫瘍性のサイトカインであるIL-2も同様に添加による相加効果が見られた。そこで、これらの分子をマスク配列として利用して、二重特異性抗体への融合検討を行った。興味深いことに融合時のリンカー配列の違いにより、分子の構造安定性に変化が見られた。これらの要因を検証、および考察するためにネガティブ染色電顕での観察へと進めた。今後の精密解析による、融合設計の最適化に期待が持たれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 二重特異性抗体と協働するT細胞活性化因子の探索、に関して検討した2種のアゴニスト抗体、および1種のサイトカインはいずれも有望であることが明らかになったが、網羅的な探索、検討には至らなかった。一方で、二重特異性抗体への融合分子の調製に関しては、順調に進展し、リンカー配列の違いが、分子の構造安定性に寄与し得ることを明らかにした。今後の電顕を用いた精密解析による、融合設計の最適化に期待が持たれる。 以上、研究の進捗を総合的に判断し、おおむね順調に進展している、とした。
|
今後の研究の推進方策 |
各種融合分子の調製に成功しているため、結合活性、がん細胞傷害活性など各種機能解析を進めると共に、マスク分子の除去前後の機能の変化を観察する。また、融合時のリンカー配列の違いがもたらした、分子の構造安定性の変化に関して、電顕解析により知見を得て、設計にフィードバックする予定である。
|