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分子の細胞内自己組織化によるがん選択的細胞死誘導技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K26467
補助金の研究課題番号 23H01774 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
研究機関神戸大学

研究代表者

丸山 達生  神戸大学, 工学研究科, 教授 (30346811)

研究分担者 森田 健太  神戸大学, 工学研究科, 助教 (60804127)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
キーワード自己組織化 / 酵素 / ペプチド脂質 / 選択性 / がん細胞 / 超分子 / バイオマテリアル / ゲル / ペプチド / 抗ガン機能
研究開始時の研究の概要

本研究では、がん細胞内で過剰発現している酵素の働きにより自己組織性抗がん剤を細胞内で生産させ、がん細胞自身の働きとそれによって生じる分子の自己組織化によりがん細胞死を誘導することを目指す。最終的には合成分子の自己組織化による細胞死のメカニズムを明らかにし、従来の阻害剤・活性化・アゴニズムとは異なる新たな薬理作用機序を提案する。従来の生理活性・薬理活性物質は、化合物の分子単体で薬理活性を示していた。ここでは、単一分子では特段の薬理活性を示さないが、分子が集合化し、物理的に大きな組織体(ナノファイバー)を作ることで初めて選択的細胞毒性を示すという新しい薬理活性コンセプトを提案する。

研究実績の概要

本研究では、がん細胞内で過剰発現している酵素(チロシンキナーゼ)の活性を利用して、自己組織性を持つペプチド脂質をがん細胞内で合成し、がん細胞の選択的な細胞死を誘導することを目的としている。既に10種以上の候補ペプチド脂質を設計・合成し、これらの分子の自己組織性および細胞毒性を評価した。チロシンキナーゼの基質となり得る配列を有するペプチド脂質は、チロシンキナーゼを高発現するがん細胞(例:A431細胞等)を選択的に殺傷する能力があることが確認された。ここでは、マイクロプレートウェル内で平面接着培養されたがん細胞に対する毒性を評価した。このペプチド脂質の自己組織性の評価は、リン酸緩衝液のゲル化能を基に行われた。その結果、カルシウム等の二価金属を含むリン酸緩衝液を使用した場合、チロシン残基のリン酸化がペプチド脂質のゲル化能に大きな影響を与えることが分かった。ペプチド脂質の脂質部分の変更により、その自己組織性および細胞毒性が大きく変化することも明らかになった。これは、ペプチド脂質の自己組織性と毒性が関連していることを示唆している。また、5種類のヒト培養細胞(主にがん細胞)でチロシンキナーゼの活性量を測定したところ、A431細胞およびH1975細胞でチロシンキナーゼの活性が顕著に高いことが明らかになった。以上の結果から、当初予定した検討項目を順調に進めており、目的に合致した実験結果を得ていることが確認されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、がん細胞内で過剰発現している酵素(チロシンキナーゼ)の活性を利用して、自己組織性を持つペプチド脂質をがん細胞内で合成し、がん細胞の選択的な細胞死を誘導することを目的としている。既に10種以上の候補ペプチド脂質を設計・合成し、これらの分子の自己組織性および細胞毒性を評価した。チロシンキナーゼの基質となり得る配列を有するペプチド脂質は、チロシンキナーゼを高発現するがん細胞(例:A431細胞等)を選択的に殺傷する能力があることが確認された。ここでは、マイクロプレートウェル内で平面接着培養されたがん細胞に対する毒性を評価した。このペプチド脂質の自己組織性の評価は、リン酸緩衝液のゲル化能を基に行われた。その結果、カルシウム等の二価金属を含むリン酸緩衝液を使用した場合、チロシン残基のリン酸化がペプチド脂質のゲル化能に大きな影響を与えることが分かった。ペプチド脂質の脂質部分の変更により、その自己組織性および細胞毒性が大きく変化することも明らかになった。これは、ペプチド脂質の自己組織性と毒性が関連していることを示唆している。また、5種類のヒト培養細胞(主にがん細胞)でチロシンキナーゼの活性量を測定したところ、A431細胞およびH1975細胞でチロシンキナーゼの活性が顕著に高いことが明らかになった。以上の結果から、当初予定した検討項目を順調に進めており、目的に合致した実験結果を得ていることが確認されている。

今後の研究の推進方策

今後はA431細胞と正常細胞が混在する系でこのペプチド脂質によりA431細胞のみを選択的に殺傷可能であることを実証する。同時にがん細胞溶解後、共存する正常細胞に悪影響を及ぼさないことを確認する。次にペプチド脂質の細胞内自己組織化がなぜ細胞死を引き起こすのか、そのメカニズムを調べる。このリン酸化ペプチド脂質による細胞死は、アポトーシス、ネクローシス、ネクロトーシスのいずれであるかを、各種関連酵素の阻害剤や市販のApoptotic / Necrotic assay Kitを用いて検討する。また細胞の小胞体(ER)やミトコンドリアへのペプチド脂質蓄積の有無により検証する。ERストレスやミトコンドリア呼吸活性等を測定し、ペプチド脂質蓄積の影響を関連付ける。本システムはチロシンキナーゼの活性を活用したがん選択的殺傷であるため、チロシンキナーゼ阻害剤を用い、ペプチド脂質の細胞毒性がどのように変化するかを検証する。
A431細胞を担癌したヌードマウスを用いて、開発したペプチド脂質の抗腫瘍効果を検証する。ペプチド脂質は軟膏状にして患部に塗布して経皮投与を行う。具体的には、ペプチド脂質、オリゴアルギニン、界面活性剤、イソプロピルミリステートの複合体を作製する。これをA431担癌マウスの患部に絆創膏を用いて塗布する。4週間皮膚がんの成長度合いを観測する。動物実験がうまく行かない場合は、投与方法を局注等に変更し効果を検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Molecular Aggregation Strategy for Inhibiting DNases2024

    • 著者名/発表者名
      Morita Kenta、Moriwaki Tomoko、Habe Shunsuke、Taniguchi-Ikeda Mariko、Hasegawa Tadao、Minato Yusuke、Aoi Takashi、Maruyama Tatsuo
    • 雑誌名

      JACS Au

      巻: - 号: 6 ページ: 2262-2266

    • DOI

      10.1021/jacsau.4c00210

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Microplate-Based Cryopreservation of Adherent-Cultured Human Cell Lines Using Amino Acids and Proteins2024

    • 著者名/発表者名
      Morita Kenta、Yashiro Tomoko、Aoi Takashi、Imamura Ryutaro、Ohtake Tomoyuki、Yoshizaki Norihiro、Maruyama Tatsuo
    • 雑誌名

      ACS Biomaterials Science & Engineering

      巻: 10 号: 4 ページ: 2442-2450

    • DOI

      10.1021/acsbiomaterials.3c01834

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Conductive Gold Thin Film Prepared by the Two-Dimensional Assembly of Gold Nanoparticles on a Plastic Surface2024

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Sarina、Tsuchii Takane、Matsumoto Mimari、Morita Kenta、Maruyama Tatsuo
    • 雑誌名

      ACS Applied Electronic Materials

      巻: 6 号: 2 ページ: 1113-1121

    • DOI

      10.1021/acsaelm.3c01520

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Induction to apoptosis by formation of self-assembled bodies of polycyclic aromatic compounds2023

    • 著者名/発表者名
      Riku Umemura, Natsumi Shimizu, Kenta Morita, Tatsuo Maruyama
    • 学会等名
      Chemical Science symposium 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Inhibition of amyloid β fibrosis by stereocomplex formation with D-peptide2023

    • 著者名/発表者名
      Haruhiko Miwa, Shiho Seguchi, Ayaka Hayashi, Eri Chatani, Kenta Mortia, Tatsuo Maruyama
    • 学会等名
      Chemical Science symposium 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ペプチド界面活性剤(ペプチド脂質)の自己組織化とがん細胞の殺傷2023

    • 著者名/発表者名
      丸山達生
    • 学会等名
      化学工学会54回秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ペプチド脂質の細胞内リン酸化が引き起こすがん細胞のアポトーシス2023

    • 著者名/発表者名
      丸山達生、清水なつみ、森田健太、八代朋子、梅村 陸、川畑良子
    • 学会等名
      第72回高分子討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ペプチドを基体とした機能性低分子ゲルの開発と新規生理活性の創出2023

    • 著者名/発表者名
      丸山達生
    • 学会等名
      化学工学会第89年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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