研究課題/領域番号 |
23K26470
|
補助金の研究課題番号 |
23H01777 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27040:バイオ機能応用およびバイオプロセス工学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
吉本 誠 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80322246)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 混相流 / 固定化酵素 / 炭素固定 / バイオリアクター / C4化合物合成 |
研究開始時の研究の概要 |
生体系には,二酸化炭素を炭素源として,有用有機化合物を高効率に合成するための,各種物質移動過程と複合酵素反応が精密に制御された微小空間が構築されている。本研究では,この機能の鍵となる反応を触媒する酵素を,バイオリアクターが提供する反応場で安定に利用するための手法を開発する。具体的には,気液界面における酵素の失活を抑制するために,二酸化炭素の水和と有機物合成を触媒する異種酵素をハンドリングが容易な微粒子に固定化して,酵素機能を長時間・繰り返して利用可能なバイオリアクターを開発する。
|
研究実績の概要 |
炭素固定反応と有用有機物の合成反応を触媒する酵素ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを固定化した粒子を用いて,二酸化炭素を含む気泡群共存下における反応操作に関する研究を行った。2023年度は,下記の成果が得られた。 (1) 二酸化炭素の水和反応を触媒する炭酸脱水酵素活性の安定性に及ぼす二酸化炭素含有気泡群の共存効果を外部循環式エアリフト型気泡塔を用いて明らかにした。特に,ガス供給速度や酵素濃度を変化させたときの酵素の失活速度を明らかにした。また,カルボキシラーゼ活性の安定性に及ぼす二酸化炭素含有気泡群の効果も明らかにした。カルボキシラーゼ活性は気泡塔内において不安定であり,混相流中においてカルボキシラーゼの触媒活性を持続的に発現させるためには,担体に酵素を固定化して用いることが有効であることを明らかにした。 (2) カルボキシラーゼを共有結合させた粒子を調製した。ポリスチレンを担体として用いる場合に比べて,著しく高密度にカルボキシラーゼを担体内に固定化する手法を開発した。これらの固定化カルボキシラーゼ粒子を二酸化炭素含有ガスを通気した外部循環式エアリフト型気泡塔に懸濁して,混相流中における炭素固定・C4化合物生成反応を安定に進行させた。 (3) 固定化カルボキシラーゼ粒子を触媒とした炭素固定反応において生成するオキサロ酢酸の生成速度・最大蓄積量と触媒粒子の仕込み量の関係を明らかにするとともに,オキサロ酢酸の化学的安定性に関する検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気液二相流中における炭酸脱水酵素やカルボキシラーゼの安定性を明らかにするとともに,混相流中においてカルボキシラーゼ活性を安定に機能させる触媒粒子を開発した。さらに,これまでのポリスチレン粒子に加えて,高濃度のカルボキシラーゼを固定化した触媒粒子を新規触媒粒子として炭素固定反応操作へ応用した。以上のように,当初の研究計画をおおむね順調に遂行できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,固定化カルボキシラーゼ粒子の調製条件の最適化と酵素固定化メカニズムの解明,固定化酵素の諸特性,触媒粒子群を懸濁させた気泡塔反応器による炭素固定反応操作に及ぼす反応操作条件の影響に関する検討を進め,炭素固定速度・固定効率も含めた酵素反応プロセスの性能を評価する。また,気泡として反応器に供給した二酸化炭素の移動にも着目して,炭酸脱水酵素活性の利用についても検討する。以上のように,触媒粒子の再利用性も含めた炭素固定触媒反応を最適に行うための研究を進める。
|