研究課題/領域番号 |
23K26495
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補助金の研究課題番号 |
23H01802 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猿山 雅亮 京都大学, 化学研究所, 特定准教授 (50636628)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 量子ドット / 超格子 / 蛍光 / 光電流 / カチオン交換 / 発光 / 自己組織化 / 協奏的光学特性 |
研究開始時の研究の概要 |
優れた光学特性をもつ半導体ナノ粒子(量子ドット)は主に離散(粒子間相互作用がない)状態において広く研究されているが、それらが規則的に集合してできる超格子が示す集団としての物性は、スケーラブルな合成手法がなかったためこれまで深く研究されてこなかった。本研究では、化学的液相合成法による均一構造の量子ドット合成技術を駆使し、異方構造をもつ量子ドット三次元超格子を迅速に合成できる手法を確立し、顕微分光による指向的協奏的光学物性を検証することで、新たな光機能物質としての可能性を探求する。
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研究実績の概要 |
独自の手法で合成した三次元硫化銅量子ドット超格子のイオン交換反応による多様な組成をもつ量子ドット超格子群の調製を実施した。量子ドット超格子を分解させないように、硫化銅量子ドットにとって貧溶媒であるアルコールを溶媒に用い、Cd2+、Pb2+、Zn2+といった異種カチオンを加え、銅イオン補足剤であるトリアルキルホスフィンを混合して加熱することで数分でほぼすべての銅イオンが異種カチオンに置き換えることができた。このCdSやZnS量子ドットからなる超格子は、もとの規則配列構造を維持し、かつ硫黄アニオン副格子の保存による結晶方位の整列など、マクロな異方性光学材料としての構造的特徴を有することが明らかとなった。特に、ウルツ鉱型CdSやZnSについては、c軸が数十μmにわたって整列しており、偏光光学顕微鏡においてもバルク単結晶のような明瞭な複屈折挙動を示した。また、PbS量子ドットにおいても[111]方向が量子ドット間で整列しており、効果的なキャリア移動につながると期待される。異種カチオンによっては酸化物と思われる副生成物の混合や、ナノ粒子配列の大きな乱れが生じるケースもあったが、イオン交換反応系中にポリビニルピロリドンを添加することで、おそらく酸化物粒子の分散性向上(超格子との分離が可能になる)および超格子構造の保護作用により、超格子の品質が大きく向上した。これは、量子ドット超格子ライブラリの拡充に大いに役立つ発見であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硫化物系の量子ドットについては、硫化銅のイオン交換によってさまざまな組成のものが合成できることが分かり、初年度の目標である目的とする試料調製に関してはおおむね達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
合成した量子ドット超格子一つ一つに対して顕微分光測定を実施し、超格子の基礎的な光学特性を理解する。また、量子ドット間でのカップリングを強めるために、より充填密度の高い直方体量子ドットからなる超格子の合成も試行する。
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