研究課題/領域番号 |
23K26504
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補助金の研究課題番号 |
23H01811 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 誠也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 任期付研究員 (90590117)
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研究分担者 |
寺澤 知潮 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (90772210)
矢野 雅大 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (30783790)
勝部 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00831083)
吉越 章隆 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (00283490)
柚原 淳司 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10273294)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | ゲルマネン / 水素化 / 水素イオンビーム / 原子層物質 / エピタキシャル |
研究開始時の研究の概要 |
特殊な2次元トポロジカル絶縁体に分類されるゲルマネンは、理論研究からグラフェンを超える電子物性が期待されている。しかしながら、エレクトロニクス材料としての魅力の反面、ゲルマネンはその化学的不安定性がネックとなり、電子デバイス素子は未だ実現していない。 本研究は、大気中での高い安定性が期待されるゲルマナン(水素化層状ゲルマニウム)に着目し、単層ゲルマネンの水素化に取り組む。昨年度までに得られた原子状水素曝露による水素化の知見を発展させ、大気安定かつゲルマネンに回帰可能な単原子層ゲルマニウム水素化物の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、Ag(111)/Ge(111)上に偏析法で合成できる単層のゲルマネンを対象に水素化を研究する。初年度は、表面の水素化手法として一般的なタングステンフィラメントの加熱による原子状水素曝露を行った。水素化したゲルマネンをフーリエ変換赤外分光(FTIR)、低速電子線回折(LEED)、昇温脱離ガス分析法(TDS)により評価することで、ゲルマネンの水素化条件について調べた。 特にFTIRの結果から、原子状水素曝露量に依存した系統的な結果が得られ、初期の曝露段階ではGeH(モノハイドライド)が形成し、その後、GeH2、GeH3のように、水素化が進行することが分かった。また、この水素化の進行に対応して、ゲルマネンがアモルファス化することが分かった。さらに、一旦水素化によりアモルファス化したゲルマネンが、真空加熱によって結晶状態が回復することも明らかにした。また、重水素(D)を用いたゲルマネンの水素化にも成功し、軽水素(H)と同様に水素化が進行することも確かめた。 一方で、計画していた独自開発の水素化手法についても、装置改良を進めた。また、Ag(111)/Ge(111)上での偏析ゲルマネンの合成メカニズムそのものについても研究を行い、温度に依存したAg表面近傍でのGe固溶現象を明らかにした。合成メカニズムの解明は、今後のAg(111)/Ge(111)上でのゲルマネンの高品質化につながると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子状水素曝露によってAg(111)/Ge(111)上の偏析ゲルマネンの水素化に成功し、多くの知見を得た。まずは、ゲルマネンの基礎的な水素化現象を概ね理解することができた。特に重要であった点は、FTIRで得られたピークがGeH由来かを明らかにすることにあるが、これは重水素(D)化によるGeD形成から確証が得られた。TDS法から、水素化ゲルマネンからの水素脱離温度を明らかにすることに成功した。以上から、初年度に解明した内容としては予想以上の進展があったと言える。 一方で、原子状水素曝露で得られる水素化ゲルマネンは、本研究が提案する理想的なハンドリング用中間体にまでは到達していないと考えられる。また、初年度の研究で、ゲルマネンの水素化に関する実験技術的な問題点も多数発見することができた。今後は、この問題点を解決するための実験装置の再整備が必要になると考えており、本項目前半部分の研究の進展と、実験装置の再整備のための後退とのバランスの結果、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ゲルマネンの原子状水素曝露による水素化の結果を踏まえ、単層ゲルマネンのハンドリング用中間体開発に最適な実験用の超高真空チャンバーを新しく設計・整備する。既に超高真空チャンバーは作製済みであるため、加熱・冷却機構の実装と、真空関連部品・装置および分析機器の整備を進める。また、原子状水素曝露のみではなく、当初計画通りに独自の水素化手法についても当該チャンバーへ設置可能となるように実装を進める。 実験装置の整備完了後は、ゲルマネンの水素化を行い、水素化手法の違いに由来する構造制御性について研究を進める。また、15Nを使った共鳴核反応法を用いて、水素化したゲルマネンの水素の定量も行う。最適な水素化条件を探索し、その後、ゲルマネンの酸化耐性や、化学的安定性について評価を行っていく。
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