研究課題/領域番号 |
23K26506
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補助金の研究課題番号 |
23H01813 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齊藤 雄太 東北大学, グリーンクロステック研究センター, 教授 (50738052)
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研究分担者 |
Fons Paul 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90357880)
畑山 祥吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (50910501)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | 層状テルライド / アモルファス / 結晶化 / 電子デバイス / ファンデルワールス / 準安定層状結晶 / ファンデルワールス力 / 半導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、次世代の半導体デバイスを見据えながら、原子がランダムに配列したアモルファス薄膜を加熱するという手法を用いることで、準安定な層状物質を作製する。具体的にはGeTe2という安定的には存在し得ない物質を薄膜形状で作製し、種々の機能を発現する半導体材料としての可能性を探索する。準安定な物質は作り方によって形成の可否が変わるため、再現性良く高品質な薄膜を作製する手法を構築する必要がある。また、それ自体がより安定な物質へと改変してしまうことがあるため、耐熱性の向上も不可欠である。今までに人類が見たことがない未知の層状物質を創製し、次世代半導体デバイス用の材料としての可能性を調査する。
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研究実績の概要 |
半導体デバイスにおいて、Siの微細化が物理的限界を迎える中、原子層厚の極薄膜でも特性を発現する層状物質が注目されている。本研究では、アモルファスGe-Te薄膜の結晶化によって得られる準安定層状物質であるGeTe2を次世代半導体デバイス用材料として提案することを目的としている。本研究目的を達成するために、2023年度は以下の研究に取り組んだ。 準安定相の形成条件の最適化や、安定化技術の確立が不可欠であったため、様々な条件にて作製実験を行なった。特に、試料の表面酸化の影響を抑える目的で、成膜後、大気解放せずに成膜装置内でのその場加熱を実施した。その結果、表面酸化は抑制できたが、GeTe2単相ではなく、GeTeやTeといった第二相も形成することがわかった。さらに、初期アモルファス組成と形成条件について検討実験を重ねた結果、Te濃度と熱処理時の圧力に相関がある可能性を見出しつつあり、特に高真空下での熱処理の場合、初期組成におけるTe濃度を高くしておく必要性があることがわかった。これらの結果は、熱処理条件として、温度だけでなく雰囲気や圧力も重要であることを示唆しており、デバイス実装へのプロセス最適化の観点からも作製手法の確立が急務であることを示している。 また、結晶構造や電子状態といった物質の基本的な性質と、電気的・光学的物性との関係を明らかにする必要がある。そこで、第一原理計算によって、異なる応力下での構造の安定性について計算を進めている。体系的な結果が出揃った時点で、学会や論文等での発表を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。GeTe2相形成に及ぼす諸因子の洗い出しについて順調に実験が進んでおり、それらの結果から、最適な安定形成条件について絞り込みを行える状況にある。安定条件を確立後は、薄膜化実験を直ちに行うことが可能であり、極薄化の極限についての調査を実施できる状況にある。 また、第一原理計算によるシミュレーションも順調に進んでおり、系統的に結果がまとめられたら学会・論文等で発表できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
大気解放をしない成膜装置内加熱の場合、初期濃度と雰囲気圧力の制御に難しさがあることがわかった。そのため、表面酸化については、形成後の除去も可能であることも考慮に入れた上で、安定的に形成させるための条件を見つけることを最優先として進めていく計画である。極薄化した試料については、これまで相の確認に用いていたX線回折法では分解能に限界があると考えられるため、断面透過電子顕微鏡観察等によっても準安定形成の確認を行なっていく計画である。また、デバイス作製を視野に入れ、チャネル層単離や、電極形成等の要素プロセス技術についても実験を開始していく計画である。
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