研究課題/領域番号 |
23K26511
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補助金の研究課題番号 |
23H01818 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三尾 和弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, ラボチーム長 (40470041)
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研究分担者 |
関口 博史 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 主幹研究員 (00401563)
山下 隼人 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (10595440)
佐々木 裕次 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30344401)
倉持 昌弘 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (60805810)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 分子動態 / DXT / 膜タンパク質 / タンパク質 / オペランド計測 / X線1分子追跡法 / 1分子動態 / X線1分子追跡法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではDXT技術を用いて、実際の生きている細胞、および実際の個体の中でのタンパク質の振る舞いを、高速かつ高精度で描写することを目指す。そこでは金ナノ結晶をタンパク質の特定部位に結合し、X線を照射した際の回折点(diffraction spot)の動きからタンパク質内部運動を解析する。DXTで不足する情報は、高速AFM計測やクライオ電顕の中間体情報から補完し、情報統合により分子の動きを包括的に導出する。タンパク質の運動をオペランド計測(実際の作動環境下で解析)することで、精製タンパク質単体の解析だけでは得られない、アロステリック制御に基づく分子機構を理解する。
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研究実績の概要 |
多様な機能を有する膜タンパク質の作動原理を理解するためには構造情報だけでは不十分で、遷移状態構造や確率頻度も含めた詳細な分子動態の理解が不可欠である。本研究ではX線1分子追跡法(DXT)技術を用いて、実際の生きている細胞、および実際の個体の中でのタンパク質の動態を解明する。DXTは金ナノ結晶をタンパク質の特定部位に結合し、X線を照射した際の回折点の動きからタンパク質内部運動を解析する、現在の1分子計測技術の中で最も高い時空間分解能が期待できる技術である。DXTで不足する情報は、高速AFM計測とクライオ電顕の中間体情報から補完し、情報統合により分子の動きを包括的に導出する。タンパク質の運動をオペランド計測(実作動環境下で解析)することで、精製タンパク質単体の解析だけでは得られない、アロステリック制御に基づく分子機構を理解する。 膜タンパク質DXT技術の深化として、タンパク質の異なるドメインの動きを同時に計測する、二重ラベル法の開発を行った。種々のプローブを検討した結果、酸化亜鉛(ZnO)のナノ結晶が回折パターン、化学的安定性、およびタンパク質との結合特性のため、優れた第二標識プローブとなりうることが判明した。ZnO結晶からの回折スポットは、金ナノ結晶由来の回折点と明瞭に区分され、タンパク質内の異なるドメインでの独立した運動解析が可能となった。本技術を用いてTRPV1の細胞内C末端領域とN末端領域の動態を、同時に区別して計測することに成功した。またタンパク質の動態を、実際に機能する環境下で計測することを目指し、細胞上に発現させた5-HT2A受容体のドメイン運動を、DXT/DXB技術で高速・高精度で計測した。動態解析では、N末端と第2細胞外ループにそれぞれ金、ZnOナノ結晶ラベルを行い、二重ラベルDXB法を用いて、両ドメインでのリガンド誘導性の運動制御を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
タンパク質分子内の異なるドメインの動きを同時に計測するために、二重ラベルDXT法を開発した。本技術を用いてカプサイシン作動時のTRPV1の細胞内C末端領域とN末端領域の動態を、同時に計測することに成功した。またタンパク質動態のオペランド計測(実作動環境下で解析)を目的に、生細胞上での5-HT2A受容体のドメイン運動を二重ラベルDXB法で解析した。金及びZnOナノ結晶ラベルしたN末端と第2細胞外ループそれぞれの解析から、リガンド誘導性の運動制御を示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
DXT技術開発の深化を進め、実際の生きている細胞、および実際の個体の中でのタンパク質の振る舞いを明らかにする。DXTで不足する情報は、高速AFM計測とクライオ電顕の中間体情報から補完し、情報統合により分子の動きを包括的に導出する。タンパク質の運動をオペランド計測(実際の作動環境下で解析)することで、精製タンパク質単体の解析だけでは得られない、アロステリック制御に基づく分子機構を理解する。
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