研究課題/領域番号 |
23K26521
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補助金の研究課題番号 |
23H01828 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山根 結太 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30586863)
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研究分担者 |
金井 駿 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (40734546)
深見 俊輔 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (60704492)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | スピントロニクス / インダクタ / スピン軌道相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
現在普及しているインダクタ素子の動作原理は、19世紀に発見された電磁誘導の法則に基づく。しかし近年、電子スピンに起因する、量子的起源を持つインダクタンス (創発インダクタンス)が発見されている。創発インダクタンスは、素子サイズ依存性等において古典インダクタンスとは質的に異なる特性を有し、全く新たな素子機能の開拓が期待される。本研究では、スピン軌道相互作用の効果に着目した現象の拡張により、材料選択や周波数特性および外場変調可能性において、創発インダクタンスがより優れた機能性を獲得することを、理論および実験の双方から実証する。
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研究実績の概要 |
現在普及しているインダクタ素子の動作原理は、19世紀の誘導コイルから変わっていない。しかし近年、電子スピンに起因するインダクタンス(創発インダクタンス)が発見され、インダクタ素子は量子研究の対象へと引き上げられた。創発インダクタンスは、素子サイズ依存性等において古典インダクタンスとは質的に異なる特性を有し、全く新たな素子機能の開拓が期待される。本研究では、スピン軌道相互作用の効果に着目した現象の拡張により、材料選択や周波数特性および外場変調可能性において、創発インダクタンスがより優れた機能性を獲得しうることの実証を目指す。スピン軌道トルクとスピン起電力の複合効果として生じる「スピン軌道創発インダクタンス」の理論・実験研究により、その実現が可能となる。 代表者は、任意の磁性材料・素子形状のもとで、スピン軌道トルク誘起磁化ダイナミクスとスピン起電力を計算する数値コードを開発している。本年度は、さらにスピン軌道創発インダクタンスを求めるためのコード改良を実施した。解析計算とシミュレーションから、インダクタンス変調可能性をはじめ、その周波数特性についてより定量的で詳細な振る舞いが明らかになっている。これらの理論予言を指針として、材料探索および測定実験設計に重要な進展が得られた。これらの成果は多くの国際学会にて発表されており、国内外から大きな反響を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画にない新しい研究進展として、人工的な反強磁性システムである積層反強磁性薄膜(同種の2つの強磁性体薄膜が非磁性薄膜をはさんで反強磁性的に結合したもの)における電流誘起磁化反転ダイナミクスについて、理論・実験成果が得られた。これは、代表者の他の科研費計画における研究との、ダイナミックな相乗効果より生まれたものであり、本計画課題であるスピン軌道創発インダクタ研究を、反強磁性体へと拡張できる可能性を開くものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の土台となる理論および数値計算コードがほぼ整備され、それによる具体的かつ定量的な実験方針が得られつつあることから、今後スピン軌道創発インダクタンスの実証実験へと本格的に取り組んでいくための準備が整った。共同研究の輪をさらに国内外で拡大していくことも視野に入れ、本年度に得られた研究指針を軸として、今後さらに研究の加速的な実施を目指す。
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