研究課題
基盤研究(B)
スピントロニクスの現枠組みでは、強いスピン交換結合やスピン軌道相互作用が電荷-スピン変換に必須とされる。この常識が今、Chiral-Induced Spin Selectivity (CISS)により書き換わりつつある。CISSはキラル分子で見出された電荷-スピン変換であり、上述の必須要素を欠く。それにも拘わらず、スピン偏極率が典型的な強磁性体に匹敵する。この実験事実は新しいスピン偏極機構を示すものの、その起源は20余年明らかでない。本構想では、電流誘起スピン偏極の定量化された測定を基点に、CISSの有力仮説―キラルな格子振動と電子の相互作用がCISSに関与―を検証する。