研究課題/領域番号 |
23K26532
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補助金の研究課題番号 |
23H01839 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
松尾 衛 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 客員研究員 (80581090)
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研究分担者 |
針井 一哉 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子技術基盤研究所 量子機能創製研究センター, 主任研究員 (00633900)
中堂 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (30455282)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | バレートロニクス / スピントロニクス / 表面弾性波 / 磁気回転効果 / スピン流生成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、2次元物質のバレー自由度にスピン・力学運動を導入し、「バレー・スピン・力学融合物理」を開拓する。従来研究はスピンと力学、バレーと力学、スピンとバレーそれぞれの交差現象を対象としていたが、本研究は渦度・バレー・スピンの三者が交差する非平衡ダイナミクスに焦点を当てる。本グループがこれまでにスピントロニクスを非平衡系へと拡張してきた経験に基づき、新たにバレートロニクスを非慣性系へ拡張し、バレー・スピン・力学運動の協奏する学理構築を理論と実験の両面から行う。
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研究実績の概要 |
これまで、スピンと力学、バレーと力学、スピンとバレーそれぞれの交差現象については精力的に研究がおこなわれてきた。このような背景の元、本研究は渦度・バレー・スピンの三者が交差する非平衡ダイナミクスに焦点を当て、2次元物質のバレー自由度にスピン・力学運動を導入し、「バレー・スピン・力学融合物理」を開拓することを目的としている。 本年度、理論面では主に磁気回転効果に関する微視的理論および磁気回転効果にともなう揺らぎの理論、空間不均一なスピン輸送理論、半導体系(2次元電子系、カーボンナノチューブ)におけるスピン輸送の微視的理論の構築を行った。 並行して、グラフェンや遷移金属ダイカルコゲナイドに横波を含む表面弾性波を導入することでバレー自由度に依存した電子角運動量に由来する新奇な輸送現象測定実験を進めた。2次元物質デバイス作製に必要な装置の導入及びピエゾ材料上にグラフェンを転写したテストサンプルについて評価を行った。加えて、高周波プロービングシステムを構築し、偏光制御レーザーを試料の任意位置に照射しながら電気測定を行う実験系を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論についてはスピン・力学交差現象に関する微視的理論構築を行い、その成果が出版された一方で、2次元物質を変形させて生じる曲率とバレーとスピン、バレーと力学の交差現象に関する微視的理論構築も進めている。 実験については本年度、2次元物質によるデバイス作製に必須となる電子線蒸着装置を導入し、成膜テストを行って良好な結果を得ている。加えてピエゾ材料上にグラフェンを転写したテストサンプルについて評価を進めている。測定系についても、高周波プロービングシステムの構築、偏光制御レーザー照射システムの構築を行い、実験準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、磁気回転効果の微視的機構に関する理解が進んだことに伴い、これまで主に表面弾性波を用いて誘起されるマイクロメートルオーダーの局所力学回転に対するスピン・バレー応答だけでなく、より短波長側のphonon modeに対する応答へもアクセスできるように理論を拡張する。また、表面弾性波が励起される系のスピン・バレー応答は本質的に時間・空間的に不均一な電荷・スピン・バレー輸送現象になるため、そのような系を扱う微視的手法開発として、非平衡グリーン関数法をもちいて、スピン・バレー依存する量子運動論や流体理論を導出し、実証実験可能性を探索する。 並行して、表面弾性波による新奇な力学運動・バレー交差現象の実証実験を進める。理論予測では、バンドギャップを有する2次元膜に横波成分を持つ表面弾性波であるラブ波を導入することで力学運動とバレー自由度が結びついた輸送現象が生じる。これを実現するプロセスとして、1)レイリー波デバイスにグラフェンを導入したテストサンプルで音響電流の測定を行う。2)グラフェンのフッ素終端処理を通じたバンドギャップ生成と分光的手法による評価する。3)櫛型電極を異なる音響インピーダンスの材料で挟んだ構造を持つラブ波デバイスの作製とレーザードップラー測定によるデバイス評価する。これらの素子の作製を通じてノウハウを蓄積したのち、実証実験用デバイスの作製と測定を行う。
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