研究課題/領域番号 |
23K26537
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補助金の研究課題番号 |
23H01844 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉信 淳 東京大学, 物性研究所, 教授 (50202403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
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キーワード | 層状化合物 / 原子層物質 / エッジ状態 / 表面分光 / 触媒 / エッジ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、遷移金属ダイカルコゲナイドなど層状物質単結晶を超短パルスレーザー加工により切断することにより、層状物質のエッジ面を調製する方法を確立し、顕微光電子分光・顕微ラマン分光・顕微赤外分光・和周波発生・電子回折などの複数の表面分析法で評価する。超高真空中で調整した清浄なエッジ面および吸着面、気体雰囲気中でのエッジ面の化学状態と反応生成物を実験的に観測し、触媒活性サイトであると考えられてきたエッジ面の化学反応性と触媒作用を解明したい。さらに、モデル化したエッジ面の第一原理計算と実験結果を合わせて、その物性・反応性を微視的に解明し、学理構築をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究は遷移金属ダイカルコゲナイドなど層状物質単結晶のエッジ面を超短パルスレーザー加工により調製する方法を確立し、顕微光電子分光・顕微ラマン分光・顕微赤外分光・和周波発生・電子回折などの複数の表面分析法で評価する。具体的には、MoS2触媒の活性点と考えられてきたエッジ面の電子状態化学状態を解明するとともに、様々な分子とエッジ面との相互作用を調べ、反応性・触媒作用を明らかにする。本研究ではレーザー加工でエッジ面(数100μm~1mm幅)を作製し、上記の表面分光を用いて実験的に観測する。モデル化したエッジ面の第一原理計算とあわせて、その物性・反応性を解明し、学理構築をめざす。 2023年度の研究実施計画に従って以下の研究を行った。 (1)真空中およびよく規定された雰囲気中でのレーザー加工および加工後に大気曝露せずに試料 を移動することができるレーザー加工・移動セルを試作した。実際に真空中でレーザー加工切断したMoS2エッジを放射光光電子分光で調べたことろ、酸化物が極めて少なく、炭素を含む不純物が少ないエッジ表面を調製することができた。 (2)レーザー加工で作製したエッジ面を超高真空中で加熱し、清浄化・活性化を行った。この表面に、水素、水、二酸化炭素に曝露し、エッジ面の反応性を放射光による顕微X線光電子分光で調べた。その結果、これらの分子はエッジ面と反応していることがわかった。 (3)気体雰囲気中における活性化されたエッジ面の吸着種や反応物・生成物について顕微赤外吸収分光と質量分析によるオペランド観測を行うための真空対応の反応セルを設計・試作し、性能テストを行った。 (4)サブミクロン電子ビーム(1~2keV)による走査電子顕微鏡および局所オージェ電子分光装置によるMoS2エッジ面の実空間観察と電子分光を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度当初に設定した研究実施計画に従って研究を進めた。その結果、レーザー加工・移動セルが極めて効果的なことが判明した。また、既設のサブミクロン電子ビーム(1~2keV)による走査電子顕微鏡および局所オージェ電子分光装置によるMoS2エッジ面の実空間観察と電子分光などにも着手した。エッジ面の電子状態および水分子との反応について,原著論文の投稿準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降の研究実施計画に沿って、着実に研究を進める。局所Auger電子分光、顕微光電子分光、顕微FTIR、顕微ラマン分光など様々な手法でエッジ表面を評価する。さらに、顕微赤外吸収分光と質量分析によるオペランド観測を行うための反応セルを利用して、気体や液体中における活性化されたエッジ面の吸着種、反応物、生成物について研究する。
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